慶應塾生新聞会 三田オフィス

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リーグ戦第6週・vs筑波大学第1戦~「リバウンド」

10月11日 vs筑波大学 ○ 71―67

リバウンドで完敗。無用な接戦は必要無い。

リーグ戦での「2敗」は、2位以上の入れ替え戦進出圏内を目指す上では最低のラインと言って良い。明大との死闘を終えた慶大は、8勝2敗。残りの対戦カードや星勘定から言っても、自力で文句なしに入れ替え戦のチケットを手にするためには、残り4戦を全勝するしかない。1敗すれば1部昇格どころか、1部への挑戦権も得るのが難しい状況である。

 しかし、この日も試合内容はいまひとつだった。筑波大はシュートタッチが悪く、フリーの状況でもシュートを落とすなどして足踏み。ただ、その外したシュートのリバウンドが取れない。この日のリバウンドは慶大の44本に対し、筑波大は56本。佐々木HCはこの日も試合後に「リバウンド、だめだね。特にディフェンスリバウンド。(ボックスアウト出来ないで)全部中に入られている。自分達が外側で相手が内側だから、短いリバウンドは全部相手にいっちゃう。ロングリバウンドの時は頭越されないようにと言ってるけど、そこで前半かなり拾われている。そこを半分以下にしないと、って指示はしたんだけど、変わらなかった」と言っていたが、これはリバウンドで負けた明大戦の時と同じ内容のコメントだ。

リバウンドが取れない――。この2年、慶大に重くのしかかる課題である。日本代表の竹内公輔が去ってから、慶大の「制空権」は著しく制限された。制空権が無くなれば、おのずと対戦相手のチャンスは広がる。シュートが落ちても味方がオフェンスリバウンドを取ってくれるという安心感があるから、相手は気持ち良くロングシュートを打つことが出来る。ある意味、竹内に頼ってきた功罪が今出てきている(今になってもまだ残っている、とも言える)、ということである。
だが、その課題は以前から生じることが分かっていたこと。特に、明大戦後に#7岩下(2年・芝)が膝を負傷しただけに、この日は5人全員でリバウンドに絡む意識があったはずだ。結局は、ボックスアウト技術が全く改善されていないというところに行き着く。

試合時間残り40秒、慶大2点リードの筑波大オフェンスの場面で、筑波大はパスミスでターンオーバー。慶大はこのまま逃げ切り、この日の試合は辛くも勝利を収めた。しかし、リバウンドで頑張れていれば、もっと楽な展開になった試合だった。無用に接戦になることも無かったはずだ。勝ったとは言え、消化不良であることは否めない。一朝一夕の努力で鍛練出来ることではないだけに、翌日のゲームにも不安が残ってしまうこととなってしまった。

負けられない試合で24得点。気を吐いた二ノ宮。

その状況で気を吐いたのは、これまでのリーグ戦で活躍の場面が決して多くなかった#16二ノ宮(2年・京北)だった。序盤から、ドライブを仕掛ければ、味方のスクリーンからフリーになっての3Pと全開。#10小林(3年・福岡大附大濠)が不調、#7岩下が膝に不安を抱え万全にプレー出来ない中で、一人気を吐いた。

「先週から、なかなか練習がうまくいってなかったので、そういう時ガードがかき回さなきゃいけない。(自分で)攻めようと思ってました」(#16二ノ宮)

慶大2点リードの試合時間残り3分、筑波大のオフェンスで二ノ宮はマッチアップした選手からスティール。「あんまり良く覚えていないです(苦笑)」と話すが、そのままボールを運び#15酒井(2年・福岡大附大濠)へアシストした。直後には、今度は#10小林が同じようにスティールすると、今度は#16二ノ宮がボールを受ける。右手でレイアップしに行ったところで冷静に相手のブロックをかわし、左手も添えて両手で持ち上げるようにして決めた。大きな6点差となった。

「勝因は#16二ノ宮かな。久しぶりに、高校の時みたいに大暴れしたって感じだった」(佐々木HC)

「ほんと、#16ニノ宮はMVPですね。今まで少しパスを回したり、ガード的なことを意識してたと思うんですけど、今日の試合は特に高校の時のようにガンガン攻めていって、自分からシュート決めてきたりしていたので。コントロールよりも、自分がファーストオプションみたいな感じでプレーしてくれたのが良かった。今は(#10小林)大祐も調子が上がってないし、#7岩下も怪我で思うようにプレーできていない状態で、得点を稼いでくれたのは大きいですね」(#4鈴木、4年・仙台二)

さすがはインターハイ得点王という活躍ぶり。ポイントガードとしてまだオフェンスを上手くコントロールしきれていない面があるが、この日のセットオフェンスには佐々木HCは「そうは言っても、7~8種類やって多くは成功してないけど、それ(ナンバープレー)は言わば、一つの安心材料だからね。その中で二ノ宮の判断でコントロールして、各自が自分でシュートするのはOKだから。ナンバープレーから能力を発揮するのは『どんどんやれ』と言っている。ナンバーコールから崩していくのは、今日は#16二ノ宮や#12田上(3年・筑紫丘)がやっていたので、まあまあじゃないかな」と、及第点の評価を与えた。

「本当にこれからも負けられないので、全力で頑張っていきたいと思います」(#16二ノ宮)

 司令塔の意識は、既に翌日のゲームに移っていた。2戦目も、その意識を持続しチームに連勝をもたらせるか。

死んでいない「らしさ」が、翌日以降への唯一の希望だ。

とにかく負けられない状況の慶大。しかし、前述のようにリバウンドには大きく不安が残る。オフェンスも精度が低いし、67失点とは言えまだまだディフェンスには課題が残る。この日は相手のオフェンスもまた精度が低く、それに救われた側面が強い。
 また、2Q4分に12点差をつけながら追いつかれてしまったことも不安材料だ。春でも見受けられたことだが、改善されていない。

「あれくらい離しちゃうと自分達の気が抜けちゃうところがあるね。それと岩下の膝に不安があるから、そこでちょっと揺らいだかな。あれでリズムが悪くなった」(佐々木HC)

「心にゆとりがあると点差を守る感じになってしまう。攻め気が失われたのかな、と思います。その時に外(からのシュート)ばっかりになったので。攻め気を失わずやろうというのは試合中から言ってたんですけど、甘さが出たのかと思います」(#10小林)

指導する側もプレーする側も意識していることなのに、それが出来ない。仮に入れ替え戦に行けても、勝てるのか不安になってしまう。

一方で、今後の戦い方を見据える上で、向上へのきっかけになりそうなプレーもあった。#16二ノ宮、#10小林のスティールだ。

「相手より平均身長が低いから、そういうところで頑張って自分達の劣っている部分を補わないといけない。今日は、それがああいう場面で出たかな」(佐々木HC)

「慶大らしさ」は、こういったディフェンスからの泥臭いプレー。この日はそれで勝った。「らしさ」は死んでいない。希望を見出すとすれば、その一点のみだ。

(2008年10月12日更新)

文、写真・羽原隆森
取材・羽原隆森、阪本梨紗子