《東京いろは》東京タワー 色褪せないシンボル

東京いろは

三田から見た東京タワー 挿絵=鈴木裕(環3)

1958年、港区芝に当時世界最高、333メートルの塔が完成した。それから60年間、東京タワーはずっと東京の街を見下ろしている。

60周年を記念した特別ライティング「KANREKI RED」(12月21日撮影)

開業当時、東京タワーの周囲には、30メートル以上の建物はなかった。まだ道には馬車が走っている時代で、巨大な塔の登場は驚異の的だった。未来を思わせる塔を一目見ようと、オープン後に多くの人々が足を運んだ。

しかし、一時期の東京タワーはシンボルどころか廃れた過去の産物というイメージがつくことになる。1980年代、高度経済成長が過去の話となり、その産物である東京タワーも人気が落ち込んでいった。

転機が訪れたのは1989年のこと。照明デザイナーの石井幹子氏設計によるライトアップで、東京タワーは夜空にオレンジ色の浮かばせるようになった。今日の夜の東京タワーの誕生だ。

それから人気は一気に回復した。来場者が倍増し、ライトアップは今では多様なものがなされている。

東京タワーは今でも観光名所として人気だ。東京スカイツリーが開業した今も、両方のタワーをセットで訪れる人は多いようだ。東京タワーを運営する日本電波塔の柏木広水さんは「スカイツリーができて、むしろ話題となってきてくださる方が増えました」と語る。訪日外国人の人気も高く、来場者数は近年増加傾向にある。

柏木さんは、「60年間、どっしりと4本脚で構える姿が安心感を与え、皆さんの思い出と共に歩んできたのだと思います」と、東京タワーが愛される理由を語る。

東京タワーといえば、赤と白のあの配色が印象的だ。正確には「インターナショナルオレンジ」というこの色が、あせることなく常に輝いているのは、脈々と受け継がれる塗装の技術にある。

赤と白の配色が印象的な東京タワー

東京タワーは5年に1回、塗り直しを行っている。現在は第11回目の塗装を進行中だ。

東京タワーの塗装は観光客のいない夜間に作業を進めている。周囲に塗料が飛び散りやすいスプレーは使用せず、すべて刷毛で塗っていく。塗料の種類は3種類あり、ミクロン単位で決められた厚さを守って塗装を行う。厚く塗ると、その分タワーに負荷が加わってしまうからだ。

塗装作業は第2回から同じ、平岩塗装が請け負う。約1年間続く高所での作業は、危険と隣り合わせである。その上、夜間作業する生活が続き、肉体的負担もある。それでも、社長の平岩敏史さんは「東京タワーは特別。タワーを塗りたいという人は多い」と話す。

東京タワーが定期的に塗装されるのは、色を保つだけでなく、鉄骨をサビから守る役割が大きい。塗装のおかげで現在もタワー内部の鉄はサビによる劣化はない。東京タワーをサビから守ること、それは敏史さんの父で前社長の高夫さんから受け継がれてきた使命だ。

「塗装を経験した人は『自分が塗ったんだ』、という誇りを持っている。昔から東京のシンボルであり続けるからこそ、それを守ることにやりがいを感じている」

60年経った今も、シンボルとして輝き続ける裏には、人知れずタワーを守る人々の姿がある。

(伊藤周也・杉浦満ちる)


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