
外岡史行 文学部人文社会学科 1年生 前慶應義塾高校生徒会長
外岡史行(とのおかふみゆき)氏は、今年度文学部人文社会学科へ進学したばかりの1年生だ。神奈川県横浜市出身。慶應義塾中等部から慶應義塾高校に進学し、同校でディベート部に所属しながら、生徒会長を務めた経歴を持つ。今回、塾生代表選挙に立候補している候補者の中で唯一の1年生であり、内部進学生としての視点と高校での制度改革経験を武器に出馬した。
高校1年時には英語の成績不振により留年という挫折を経験した。その後、精神的に開き直り、前向きに自らを変えていった。特に生徒会活動においては「なんとなく」運営されていた制度に対し問題意識を持ち、改革に着手した。部活動の設立・廃止に関する制度が曖昧であった点を改善するため、規約を明文化するなど、組織の改革に努めた。
こうした経験の原体験は、コロナ禍でイベントが激減し、学校生活に活気がなくなっていた時期の実感がある。「自分が盛り上げるしかない」という意識から、イベントの企画や制度運営に前向きに取り組んできた。大学進学後もこのスタンスを維持し、全塾協議会の体制強化や学生生活の制度的整備を目指す。
歴史や旅行、日本の城に関心があり、文学部への進学も「歴史を起点に、政治という現代への展開に関心を持ったため」としている。尊敬する人物には、戦国大名・今川義元を挙げており、その理由として「軍事的評価とは別に、行政能力に優れていたこと」と説明する。愛読書は田中芳樹の『銀河英雄伝説』。サークル活動はまだどこに残るか決めていないが、ボードゲーム、トランプゲーム、推理小説系など幅広い関心を示している。
公約として掲げるのは、「学びのモチベーションの維持」である。具体的には、空きコマや昼休みに休息を取れる「仮眠室」の設置を提案している。塾高でも検討されたが実現しなかったこの施策を、大学での設置へつなげたいと考えている。また、「土曜日必修」の漸進的な撤廃も主張。多くの学生から日常的に愚痴が聞かれるこの制度が、学びへの意欲を阻害しているとの認識に基づく。いきなり廃止するのではなく、段階的な緩和を通じて制度を変えていくという現実的なスタンスをとっている。
さらに、学びの機会を広げる取り組みとして「留学生との交流機会の拡充」も掲げる。現在は、サークル活動や健康診断など、限られた場面でしか接点がない留学生に対し、協議会主導の交流イベントを定期開催することを提案。自身が中国語を履修していることもあり、「会話を通じて違いに気づき、互いに学び合う場をつくる」ことを目的としている。特に、留学生といわゆる「ライト層」が参加しやすい設計にすることで、交流の間口を広げたいとしている。
多くの学生は現状に大きな不満は持っていないが、それが問題だとは言わない。しかし、塾生代表選挙を知らず、投票に行かない学生も多い。「消極的肯定」の層に対して、選挙を通じて「変えられる」という実感を持たせることが重要だと外岡氏は考えている。塾生代表が変わっても劇的な変化は期待できないが、自分たちの一票が大学に影響を与えると感じることで投票へのモチベーションが高まる。そのためには、塾生協議会の活動や選挙の意義を広めるための情報発信力強化が必要だと訴えている。
財務面についても一定の経験を持っており、高校時代の生徒会では年額約2000万円の自治予算を管理していた。実務経験や、分担管理体制の整備といった経験を塾生協議会にも活用したいとしている。
最後に、「確かな行政能力とフレッシュさで頑張っていくので、清き一票をよろしくお願いします」と述べた。
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(徳永皓一郎)