教職課程のすすめ 慶應教職課程センターインタビュー

教員免許を取ろうと思っても、オンライン授業で手探り状態の塾生は多いだろう。そこで、慶應義塾大学教職課程センター副助長の藤本和久先生に話を聞いた。

 

慶應の教職課程

慶應の教職課程センターは、事務組織と教員組織が合わさった組織である。教職課程は、三田・日吉・矢上・湘南藤沢キャンパスで登録可能で、多岐にわたる各キャンパスを教職について一手に引き受けている学部の外部連携組織だ。

 

慶應の学部では外国語は英語のほか、独語・仏語・中国語や、商業・情報といった豊富な取得可能な免許状のラインナップが揃う。まずは自分の学部学科に紐づいた、文部科学省から認可された科目を取ることを念頭に学習を始めることが望ましいが、単位の取得状況により他の免許状が取得できることもある。

 

原則2年生または3年生の春に教職課程登録をする。なお一部学部において教職課程未登録でも、1年生秋から科目限定で取得可能である。教職課程は「教科に関する科目群」と「教職に関する科目群」の2本柱で成り立っている。教科に関する科目は学部に置かれた卒業に必要な科目に含まれる一方で、教職に関する科目は教職課程コース登録をしないと取れない科目だ。

 

3年生で実習のための準備として、黒板の前で他の受講生を生徒とみなして模擬授業をする。コロナウイルスの状況を見つつ、できる限り対面で、現場を疑似的に体験してもらうことを目指しているという。

4年生の教育実習までに必要な科目を取得した上で、年2回開催される、教壇に立つ学力があるか確認する実力テストに合格する必要がある。

教育実習後の4年生秋には演習型の教職専用ゼミを受けて教職課程は修了する。

慶應の特色

教職課程センターに専任教員がいて授業を提供しており、各学部と対等に付き合うという組織のあり方は独自だ。専属でサポートする体制を持っているのは慶應の特色である。

また、教育実習前後の授業は生徒10名以下で近い関係を築ける。それゆえ現場で活躍する卒業生による講演会が実施され、先輩の手厚いサポートもある。

 

独自のオンラインシステムの「教職ログブック」には教育実習に出ている生徒が掲示板で繋がり合う場が設けられている。「学部や専門を超えて同じ教師を志す人たちがお互いに名前が分かる関係になって、膝詰めで議論ができる環境を作れているのは魅力です」と藤本先生は語る。

 

教員免許取得に迷う塾生に向けて

毎年春の頭に教職の仕組みを説明するガイダンスを行う。直近2年はコロナウイルスの影響を受けてオンラインで行われた。

他にも教職の魅力発信のため、公開研究会を不定期で開催している。内容としては現職の先生や教職に就いた卒業生を招いて実際の教育現場の話を聞くというものだ。教職課程センターのホームページで情報提供をしているため、アンテナを張って意欲的に参加して欲しいと藤本先生は話す。

 

オンライン授業と教職

藤本先生は新型コロナウイルス感染症による教職課程での影響を危惧している。昨年は教育実習の受け入れを中止する学校もあった。大学でも依然としてオンライン授業が継続されている。バーバルなメッセージだけではない、現場を経験できなくなっていることは、人が学ぶ学校というイマジネーションが貧しくなってしまうのではないかと感じている。厳しい状況の中で、教職課程に登録する生徒の学習観や、教師と子どもの関係に対する見方が変質することに警鐘を鳴らす。

 

同時に、オンラインでカレンダーを一目見るだけで大事な手続きやスケジュールを確認できるため、教職課程の様々な流れで、そのことが持っている意味が見落とされる場合がある。

 

教職をとる生徒は、とりわけ学校に対してポジティブなイメージを持ち、ある種の居場所にしていた傾向が強いと藤本先生は感じている。ライブで学ぶことが難しい現状を通常の学生よりも教職に指向性を持つ学生の方が辛く感じているのではないかと懸念する。

 

教職課程のすすめ

教職課程取得と同時に民間就職を目指す塾生も多いだろう。藤本先生は両立についての自身の考えをこのように述べた。

「二足の草鞋を履くことはしんどいと思うことがあると思います。ですが、確実に毎年100人近くの生徒が教育実習に行ってやり切ってきています。教職を取って、実際に民間に就職していく人の方が数的に主なんじゃないかなと思います」

 

現在は色んな人が教職を目指せるようになっている。4年生までに完遂しなくても、大学院で教育実習に行ったり、あるいは教職課程登録はしておき将来的に戻って続きを取ったり、様々なやり方がある。

 

藤本先生は自身の教師像を、子どもの側に立って同じ景色を見ることができる人と話す。子どもは必ずしも教師が教えた通りに学んではいない。「迎合ではなく、ここまで学んできた生徒には、自分が伝えたいことはこのように見えている、と想像できるようなって欲しい」現在、教師にダイバーシティが求められていると先生は言う。

「不安や心配から2年生から教職課程を始めない道を選ぶことはやめてほしい。たとえ教職を一旦諦めたとしても、意味のある経験だと思っています。」

誰でも、資質や能力に囚われず、教職課程に大いにチャレンジして欲しいと語った。

 

〇慶應義塾大学教職課程センター

https://www.ttc.keio.ac.jp/