2020年、新型コロナウイルスの感染拡大により、私たちの日常も、旅を巡る状況も一変した。そんな苦難の中でも「挑戦」しつづける人がいる。法学部政治学科2年の小野桃果さんだ。彼女は、TABIPPOが主催する世界を旅する女子が輝くコンテストSHINEでグランプリを受賞し、ミストラベル2021の称号を手にした。

異文化への興味

彼女が旅に出たいと思ったきっかけは、慶應義塾湘南藤沢高等部の同級生の姿だった。帰国生が海外の学校や暮らしについて目を輝かせて語っていたのを見て、異文化への興味がわいたという。ただ、海外渡航はすぐには叶わなかった。そこで彼女が注目したのが、世界遺産検定だ。3級最年少最優秀賞を受賞し、卒業時には、1級を取得した。

「世界遺産はたった10の登録基準の下で選ばれ、人類共通の宝として各国が協力して保護や管理をします。価値観の多様化が叫ばれる中、根底には国を越えて通じ合える心があることにはっとさせられました。それぞれの世界遺産にまつわる文化・宗教的背景の奥深さ、そしてそれを皆で認めあえるところが世界遺産の魅力です」と目を輝かせる。

 

旅先での「対話」が世界観を広げてくれる

旅先で大事にしているのは、そこでしか出会えない人との「対話」だ。言葉の壁を恐れずに、積極的に話しかけることが大切だと彼女は語る。「対話は、世界観を広げてくれます。そのときに大事なのは、相手のことを知ろうとする気持ち。旅先での出会いは、人生を変える契機になりうるのではないでしょうか

彼女にとって、初の海外渡航先は、高2の時に訪れたタイ。世界遺産アユタヤの前で、出会った少年の姿にハッとさせられたという。「片腕がない男の子でした。花束を片腕でどっさりと抱えて、私に駆け寄り、買ってくれとせがんできたんです。タイ語は分からないけれど、目力の強さや言葉の必死さに圧倒されました。当時の私は、なんとなく日々を生きていたんです。でも、彼と出会って、一つ一つの体験や出会いを大事にしていこうと思うようになりました。旅は、楽しいだけではなく、いい意味で生き方を再考できる場だと思います」

 

コロナ禍だからこそ伝えたい旅の魅力

新型コロナウイルスの影響で、海外渡航はもちろん、旅行自体が難しい状況が続いている。彼女にコロナ禍の旅について聞いた。「決して遠くに行くことだけが旅じゃないと思います。いつも通らない道を通ってみたでも、近場に行ってみたでもいいんです。場所や距離ではなく、旅先で何を感じるかが大切です」と語る。かつての彼女は、旅先が住む町から遠いほど、価値があると思っていたが、家や大学の近くでも人の温かさがあると気づいた。旅先で感じることに、心のアンテナを張ることが、素敵な旅の秘訣だという。

 

彼女の「挑戦」は続く

時に、人生を変える出会いがある。旅は、そんな素敵なものだよと伝えたい。旅に行くことを躊躇している女の子を応援したい。そんな思いを抱えて臨んだ、世界を旅する女子が輝くコンテストSHINE。11日間のWEB投票では、約1万1300票を獲得した。SNSで発信をする中で、新たな目標もできた。「友人や家族だけでなく、SNSでつながっている人、友達の友達など、いろんな人に応援してもらい、人の温かさを感じました。次は私が挑戦する人を応援したいです」と笑顔で話す。

彼女が挑戦を大事にしているのは、挑戦がその人自身を磨き上げるからだ。「挑戦することでしか味わえない気持ちや出会えない言葉があると思うんです」と熱く語る。

 

 

将来は「視聴者が行動を起こしたくなるような未知なる世界を、自分の言葉で伝えたい」と思い描く小野さん。彼女が様々なことに挑戦する姿は、きっと多くの人が一歩を踏み出すきっかけにつながっていくだろう。

(いちご大福)

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