明大が8季ぶりの優勝に輝いた20年度春季六大学野球リーグ戦。慶大は5季連続3位という成績に終わった。この成績について相場監督は「あと一つというところまでは行くが、そこで勝ち点が取れない。それが私自身の課題」と悔やむ。

 今季の慶大の一番の不安はリーグ通算30勝の絶対的エース加藤(現ヤクルト)が抜けたこと。彼を擁しても3位の壁を破れなかった慶大の前評判は高くはなかった。だが、慶大は中林、相澤の2枚のエースを中心に前評判を裏切る奮闘をしたといっていいだろう。特に中林は自分では「まだまだエースとしての自覚が足りない」と語るものの、連投、完投とエースとして大車輪の活躍を見せた。

 投手陣の課題は投手戦で競った時に、2番手、3番手として使える投手の台頭だ。村山、居村が防御率の好リリーフを見せてくれたが、球威、制球など課題も多い。

 前季からの課題であった打線は、小野寺が首位打者を獲得するも、今季も不調が続いた。リーグ終盤になると山口、渕上(法2)など経験の少ない選手が慣れて打てるようにはなった。しかし、今福(環4)、青山(環2)、梶本(環3)が3人で8打点と主軸が打てない。さらに、好投手を打ち崩せないという傾向が強く、今後優勝を狙うにはその克服が必須である。

 首位打者について小野寺は「素直に嬉しいが、ここ一番のチャンスや、良いピッチャーから打てていないとも感じている。そこの部分を秋には改善していきたい」と語り、貪欲な姿勢を見せた。

 リーグ戦を終えて相澤主将は「秋に向けてもっと練習をつんで個々の技術を上げ、ここぞという場面でのビックプレーを見せたい」と語った。

 「色即是空空即是色」。3位という結果はファンにとって空しいものである。しかし、空しさの中には満ち足りることへの期待が含まれている。秋季リーグこそ、野球部は優勝という結果でファンの心を満たしてくれることを期待している。