東京六大学野球リーグ戦は6月2日に全日程を終了し、明大が対戦相手全てから勝ち点を奪って8季ぶりの優勝を達成した。第3週で明大に敗れていた慶大は、第6週で法大に連勝し勝ち点を3としたが、第8週で早大に1勝2敗。5季連続となる3位に終わった。なお、小野寺(商3)が首位打者に輝き、チームで唯一のベストナイン(一塁手)に選ばれた。
 
 
慶法1回戦
小野寺2番的中 上位打線7打点
 慶大は4回に打者一巡の猛攻で逆転。その後も制球に苦しむ法大投手陣を打ち込み、14―2で大勝した。
 「1、2番の出塁がポイントになる」(相場監督)と、好調の小野寺を2番で起用。1番の山口(商2)と小野寺で7安打、6打点と期待に応えた。また、変化球でカウントに苦しんでいた法大先発の小松に対し、ストレート狙いを徹底するなど、采配が的中した。

▼中林が死球受け退場
 先発した中林(商3)が5回の打席で右手首付近に死球を受け、直後に代走を送られた。試合後に病院に向かったが、大事には至らなかった。
 中林の後を受けたて4回を1失点で抑えた居村(総3)、田中(環2)について相場監督は「場数を踏ませて育成するしかない」としながらも、「毎回先頭打者を出塁させたので褒められたものではない」と厳しかった。
 
 
慶法2回戦
投打に圧倒 法大に連勝
 慶大が投打に法大を圧倒し勝ち点を3にした。
 法大打線は相澤(経4)、村山(環3)の継投の前に散発4安打、9三振、無得点と完全に沈黙。一方の慶大打線は4回に3番から6番までの5連打で2点を挙げ先制、その後も2点を加えた。
 この試合、法大先発の二神は148㌔の直球を投げながらも、3回途中まで7安打3失点。対する相澤は直球こそ140㌔弱だったものの、緩急を巧く使いボールを低めに集め、8回を4安打無失点。下位チーム相手ではあるが、慶早戦に期待を持てる内容であった。
 慶早戦に向けて相場監督は「連勝でチームの状態も非常にいい。打線もそれぞれの役割をこなせばいい試合ができる」と話し、相澤主将は「打倒早稲田でやってきている、(戦力差はあるが)気合で勝ちたい」と語った。
 
 
慶早1回戦
ミスで自滅 初戦落とす
 2―2で迎えた7回裏、慶大は2死2、3塁から3塁走者上本に本盗を決められ勝ち越しを許す。試合はそのまま早大が5投手の継投で逃げ切り、3―2で勝利した。
 慶大は常に先手を取っていたにも関わらず、6回表の追加点のチャンスにはスクイズ失敗で無得点。その裏では失策で同点に追いつかれるなど、好投のエース中林を見殺しにする結果となった。スクイズについて打席に立った小野寺は「(監督の指示だったものの)スクイズ失敗は勝敗に響いたと思う。責任を感じている」と嘆いた。
 試合後、相場監督は「中林は変化球、コントロールの点でよかった」と評価している。しかし中林自身は「調子はよかったが、味方が取った以上の点を取られてしまったことには納得できない」と渋い表情を浮かべた。
 今大会首位打者のタイトルがほぼ決定的となった小野寺は、第2戦に向けて「タイトルとか、斎藤佑樹投手とか関係ない。打席に集中し、自分の仕事をするだけ」と淡々と語った。
 慶大選手の試合後インタビューでは、こういったひたむきな姿勢が目立った。彼らの精神が真であるならば、この敗戦はさほど問題ではない。
 
 
慶早2回戦
相澤が完封 1勝1敗に
 前日の敗戦を受け、慶大としてはなんとしても1勝が欲しい慶早戦2日目。今季最多の3万4000の観衆のもと、慶大は主力陣の活躍が実を結び勝利した。
 慶大先発は、主将としてチームをリードする相澤。対する早大先発は、怪我から復帰した斎藤がマウンドに上がった。
 試合が動いたのは、4回、山口がライトに先制の本塁打を放つ。山口は「打ったときは、入ると思わなかった」と振り返る。さらに5回には梶本が左本塁打で追加点をあげ、慶大はその2点のリードを守りぬき、逃げ切った。
 相澤のピッチングは、早大相手に要所を締め9回を6安打に抑え完封という素晴らしい内容。最大のピンチは5回、1死2、3塁の一打勝ち越しの場面だったが、後続をきっちり討ち取り無失点に抑える。その後は危なげない投球で早大打線を寄せ付けなかった。
 斎藤から2本塁打を放ち、早大を完封したこの勝利は、秋季リーグに繋がる意味ある1勝であった。
 
 
慶早3回戦
中林粘るも 早大に惜敗
 相澤の好投で1勝1敗のタイに持ち込み、勝利した方が2位という試合であった。しかし、慶大は早大にサヨナラ負け、春季六大学野球最終戦を勝利で飾ることができなかった。その結果、昨年の春秋に続き、今期も3位に甘んじる結果になった。
 慶大は2回中林のヒットなどで2点を先制するも、3回に早大に同点とされる。その後は投手戦となり、迎えた延長10回宇高に決勝打を放たれ惜しくもサヨナラ負けを喫した。
 中林は試合結果について「単純に悔しい。それだけ」と苦渋に満ちた表情を見せた。しかし投球内容に関してはゲーム全体を通して安定感を見せ、9回までを2失点に抑えた。とりわけ後半のストレートを軸としたピッチングは早大打線を苦しめた。
 一方慶大打線は早大のエース斎藤の力投もあって、2回以降追加点を奪えず、中林を援護し切れなかった。今期好調を続けた小野寺もこの日はノーヒットに終わり、重要な場面でいかに勝負強さを発揮するかが今後の課題となった。