教育制度の在り方を発表する学生たち

社会の難問に取り組む力を

慶大の博士課程教育リーディングプログラム「超成熟社会発展のサイエンス」の2013年度シンポジウムが、先月10日に、三田キャンパス北館ホールにて開催された。

急速な少子高齢化などを背景に日本は今後、超成熟社会に直面する。そこで生じる新たな問題の解決を求めて、専門性と総合力を兼ね備えた人材が必要とされる中、このプログラムは優秀な学生たちを将来多様な場で活躍できるリーダーに育てる目的で始められた。今回のシンポジウムでは、実際に学生を指導している教授らによる、同プログラム独自の教育制度についての座談会、学生発表及び討論が行われた。

このプログラムは、大学院の全研究科から選抜された学生が対象だ。彼らは産学官の連携や文理融合を特色とする教育プログラムを通して3年間で2つの修士号を獲得する。さらに、経験豊かな企業人が指導者となり、社会において実際に起こり得る課題を学生に提起して議論を進める。そういった授業を通して視野を広げ、学生の問題発見能力や企画力、問題解決力などを磨いている。

招聘講演を行った、元文部科学省副大臣の鈴木寛氏は、「世の中の難問に、学問の力をもって真正面から取り組む人材を社会に輩出するのが大学の役割」と述べ、このプログラムの重要性を説いた。また、リーダーの条件として「勇力をどのようにつけていくかが大事」であると語り、博識があるだけでは十分ではないことを強調した。

討論では、学生と企業人たちが白熱した議論を繰り広げた。壇上にいる学生が発言するだけでなく、聴講していたほかの学生たちも積極的に発言し、教育システムのあり方について意見を交わした。