埼玉県には海がない。だからビーチもない。そのような常識はもう覆されていることをご存じであろうか。さいたま市岩槻区と越谷市にまたがる「県営しらこばと水上公園」。県営としては最大規模のプールを誇り、東埼玉に住む人々の憩いの場となっているが、ここにテニスコート8面分の広大なホワイトビーチがあるのだ。
 
ホワイトビーチ創設のきっかけは、公園内に1‌9‌7‌9年に設立したスケートリンクの老朽化だったという。「プールで賑わう埼玉県に新たな付加価値を」ということで、総工費予算2‌6‌0‌0万円でスケートリンクの跡地一面に真っ白な砂を敷き詰め、2‌0‌1‌2年に完成を迎えた。
 
ホワイトビーチに使用されている白砂は、全てオーストラリア産のものをダンプカーに積み込んで搬入した。その中には埼玉県の姉妹都市であり、オーストラリア最大の観光保養地として世界的に有名なゴールドコーストがある、クイーンズランド州のものも含まれているという。
 
こうしてできたビーチで、2‌0‌1‌4年に内陸の県として初めてビーチバレーボール大会が開催された。またその年のホワイトビーチに限った利用者数は年間1‌2‌8‌3人であったが、2‌0‌1‌5年には2‌0‌8‌1人、2‌0‌1‌6年には3‌0‌7‌0人と毎年約1‌0‌0‌0人規模で増加しており、今では年間10試合ほどが行われている。
 
「ホワイトビーチの認知度が上がってきたことにより、利用人数の増加がみられているのでは」と「県営しらこばと水上公園」を運営している県庁公園スタジアム課の担当者はいう。「メディアで取り上げられたときは、海なし県の埼玉にホワイトビーチを作ったということで散々いじられていました(苦笑)。しかし内陸でビーチバレーができるということで、海から遠く離れた場所に住む選手にはとても喜ばれています。その点でも創設した意味はあったのではないかと思っています」
 
ビーチバレーコートは通常有料であるが、夏季プール期間中はプール利用者に敷地の一部を無料開放している。有料区域であるが、パラソルとチェアを完備したプライベートビーチエリアも人気だ。慶大生ならなじみ深い方も多いかもしれない、埼玉高速鉄道線浦和美園駅から直通バスがでているしらこばと水上公園。夏休みの選択肢に埼玉という新しい候補地を加えてみてはいかがだろうか。
(稲葉舞華)