中等部から大学まで、読書とパソコンのプログラミング、パソコン通信に夢中で学生時代を過ごす。大学生活は、ダブルスクールに明け暮れ大学2年生、19歳時に公認会計士試験二次試験に合格。20歳で結婚。21歳で長女を出産。そんな学生生活を過ごしてきた塾員がいる。勝間和代氏だ。勝間氏から新入生に対してメッセージを頂戴したので、充実した学生生活を過ごしていく上で一つのモデルにしていただきたい。

 当時、最年少の19歳で公認会計士の資格を取得。21歳で長女を出産。アーサーアンダーセン、マッキンゼー、JPモルガン証券を経て経済評論家として独立。2005年、ウォールストリートジャーナル紙より「世界で最も注目すべき女性50人」に選ばれる。翌年、エイボン女性大賞を最年少で受賞。3人の子育てをしながら、働く女性のためのサイト「ムギ畑」を立ち上げる。著書多数。
 当時、最年少の19歳で公認会計士の資格を取得。21歳で長女を出産。アーサーアンダーセン、マッキンゼー、JPモルガン証券を経て経済評論家として独立。2005年、ウォールストリートジャーナル紙より「世界で最も注目すべき女性50人」に選ばれる。翌年、エイボン女性大賞を最年少で受賞。3人の子育てをしながら、働く女性のためのサイト「ムギ畑」を立ち上げる。著書多数。

公認会計士の資格取得のために大学1年から専門学校とダブルスクールをしていた。そのため資格の勉強との兼ね合いを図り、極力負担のかからない講義を履修していた。公認会計士を志すきっかけとなったのは、彼女が中等部に入学した頃、十数歳離れている姉たちの就職活動を目の当たりにしたときだ。女性の就職の困難さを原体験したことで、女性は手に職をつける必要があり、さもなければ大学卒業後、太刀打ちできないと自分なりに考えた。
資格の勉強で気を付けたことは、専門学校の授業を自分なりに組み替えたりしたこと。自分が必要だなと感じた企業会計原則や会社法などに集中した。専門学校のカリキュラム通りに勉強して受かる人と落ちる人の差が大きくでるのはいかに効率化できるかにあると分析していた。
公認会計士試験の勉強に打ち込んでいた際、先輩などから聞いて単位や高評価を得やすい大学の授業を選択した。だが、何となく単位や評価を得たりしても何の意味があったかのかと懐疑的に振り返る。社会に出て経営コンサルタントになり思ったことは、学部時代に著名な先生方が自分の近くにいたにもかかわらず、活かしきれなかったことだという。今更、勉強をし直している自分が悔やまれるそうだ。当時の自分を、「何が自分に出来るのか、どういう学問領域に関心を抱いているのかが分からなかった」と振り返る。
また、勉強が嫌いな学生に無理に勉強を勧めるつもりはないが、明確なビジョンを持たない人は、とりあえず学ぶことに専念すべきだという。社会人になり勉強しようと思っても、それに裂く時間とコストが伴うため、無駄になってしまうからだ。
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「新入生にはとにかく色々な人と出会い話を聞いてほしい。人が有益な情報をもたらしてくれる」。 そのために必要なことは、相手に対して自分が何が出来るかを問い直してみることだ。自分が相手から何がもらえるかではなく、自分から情報を発信していけば、不思議なほど周りの人が有益な情報を提供してくれるようになる。慶應のキャンパスが与えてくれるもの、仲間が与えてくれるもの、教員が与えてくれるものを自分なりに吸収し、それを自分の視点として導入していく。慶應義塾にいることで、学問、人との出会い等、俯瞰して自分のポジションを考えていくことができるはずだ。
所詮、学生に出来ることは本当に限定されている。それ故、まずは無力な自分、「出来ないことだらけの自分」を認識していく必要がある。だが、そこで思考停止になるのではなく、ぼんやりとでも自分の出来そうなことをイメージし具現化させる。そうやって地道に自らの礎を構築していくのが、大学を活かす方法だそうだ。
最後に勝間氏は、「努力することが格好悪い、というイメージを払拭することが大事」と語った。何かに本気になっている姿は輝かしい。本気になれるものを模索しそれに向かって探求していく環境も時間も大学にはきっとある。だが、その場を利用するもしないも自分次第だ。自らの好奇心や問題意識が自分を動かす原動力になり自らの世界観を創造していくだろう。これを考慮しつつ、新入生は豊かな大学生活を送っていってもらいたい。
(御園生成一)