ゴール下で競り合う田上=羽原隆森撮影
ゴール下で競り合う田上=羽原隆森撮影
 第84回天皇杯全日本総合バスケットボール選手権大会が
1月1日、東京体育館で開幕した。学生1位として2回戦から出場した慶大は、横河電機に勝利したものの、3回戦で日本バスットボールリーグ(JBL)8位の三菱電機ダイヤモンドドルフィンズに敗れ、今シーズンの戦いを終えた。同大会は12日に代々木第1体育館で決勝が行われる。

二回戦
大差つけるも流れに乗れず
【慶大123―103横河電機】
 慶大は開始直後から、持ち味のトランジションを発揮して横河電機からリードを奪う。しかし、点差が離れると気の緩みからか連続で失点を重ね、なかなか突き放すことが出来ない。3Q途中にはようやく約30点差をつけてゲームが決着したかに見えたが、そこからじわじわと追い上げられて残り2分で13点差とされてしまうなど、展開の悪い試合になってしまった。ただ、最終的には
20点差をつけて勝利し、3回戦進出が決定。JBL・三菱電機への挑戦権を手に入れた。しかし、佐々木ヘッドコーチは試合終了後、「相手選手にフリーで3Pを打たれて、そのせいで15点くらい損している」とややため息混じりに話していた。

三回戦
後半に息切れ 体格差に屈す
【慶大79―123三菱電機】
 2戦目はJBL8位の三菱電機と対戦した。三菱にフィジカルの差を見せつけられ、慶大は圧勝を許す結果となった。
 前半は、インサイドで攻める三菱に対し、慶大は二ノ宮(環2)の連続3Pシュートを機に、小林(総3)、酒井(環2)らの3Pシュートで同点にまで追い上げた。しかし、2Q終盤、三菱の速攻からの連続得点で8点差まで離され、前半は終了した。
 後半は、三菱の激しい攻めから守れず、大量得点を許した。同時に、慶大は得点を決められない時間が続いた。最後までリバウンドに絡めないなどで得点を決められず、JBLの壁を破ることはできなかった。この試合で引退となった主将の鈴木(法4)「前半できたことを後半にできなかったことが後悔です」

総評

早慶戦勝利、1部復帰、インカレ優勝。慶大バスケ部は、チームで掲げた3つの目標をすべて達成。昨季の2部降格の悪夢を払拭し、見事に復活を遂げた。

 「走るバスケットボール」をモットーとして臨んだリーグ戦。しかし初戦の相手、国士舘大にいきなり苦戦を強いられ、2部の洗礼を浴びることとなる。それでも慶大は先攻逃げ切りのプレースタイルを貫き、修正を加えながら確実に勝ち星を重ねた。明大にこそ2敗を喫したものの、リーグ戦を1位で通過。大東大との1部復帰をかけた試合では、圧倒的な実力の差を見せつけ悲願の1部
復帰を成し遂げた。

 インカレでも慶大は持ち味を遺憾なく発揮する。運動量では他の追随を許さず、トランジションゲームで次々と強豪校から勝利を奪取。決勝でも勢いに乗る国士舘大に対し、危なげない試合運びで流れを引き寄せ、4年ぶり7回目の優勝を決めた。

 得点力に加え安定感も手に入れた小林。ゴール下を支配してきた岩下(総2)。そして、プレーでチームを牽引し続けてきたキャプテン鈴木。これらの選手がひとつになって展開するスピーディーかつ正確なバスケットについて行けるチームは、もはやどこに
もなかった。

 インカレ準決勝で佐々木ヘッドコーチはこう語った。「僕が学生に言ってあるのは、『ハーフコートでやっているバスケットが、本当に今、日本にとって正しいことか、世界に行く時に近いことか』。もちろん、そうじゃないと思っていて、大きくても小さくてもまずは走らないと」。この確固たる理念を選手たちが守り続けたことが、大きな成果を上げられた所以だと言える。

 最高の形で今季を終えた慶大バスケ部。選手層の強化などの課題を乗り越え、来季の更なる活躍を期待したい。

(金武幸宏)