今回は、慶應義塾大学商学部の卒業生であり、現在お笑いコンビ「コットン」として第一線で活躍されている西村真二さんにお話を伺いました。
西村さんは大学時代、ダンスサークル「REVOLVE」での活動に情熱を注ぎ、さらには「ミスター慶應」にも選ばれるなど、華やかな学生生活を送られました。卒業後は広島ホームテレビにアナウンサーとして入社。しかし、そのキャリアを捨て、お笑い芸人になるという夢を叶えるためNSCに入り直すという、異色の経歴の持ち主です。
なぜ彼はアナウンサーという安定した道を離れ、芸人の世界へ飛び込んだのでしょうか。今回のインタビューでは、サークル活動に明け暮れた大学時代から、就職活動、そして芸人転身に至るまでの決断の背景について、詳しく語っていただきました。

芸人を目指したきっかけと大学受験
○芸人を目指しながらも慶應大学を受験した理由は何ですか?
―高校時代、進路指導の先生に「芸人かホストがいい」と言われたのがきっかけです。母親に芸人になりたいと伝えたところ、「勘弁してくれ」「潰しが効くから大学だけは出てほしい」とお願いされました。当時は18歳で芸人になるのも(大学卒業後の)22歳でなるのも変わらないと思い、受験を決めました。
○なぜ慶應大学を選んだのですか?
―とにかく東京に出たかったのです。兄が早稲田でしたが、「早稲田」という響きよりも「慶應」の方がかっこいいな、という理由で志望校にしました。学部は法学部、経済学部、商学部を受け、合格した商学部に進学しました。
大学生活(サークル・学業)
○大学時代のサークル活動について教えてください。
―慶大公認ストリートダンスサークルの「リボルブ(REVOLVE)」に所属していました(5期生)。新歓のオリエンテーションで見たとき、他のサークルとは違うアンダーグラウンドな雰囲気とブレイクダンスに惹かれて入部を決めました。
○大学生活はサークルがメインでしたか?
―はい、サークルだけがメインでした。ボールペンも持たないくらい学業には無頓着でした。必修だった第二外国語(中国語)だけは最前列で授業を受け、愛嬌で単位を取りました。
○アルバイトは何をしていましたか?
―1年生の時から、日吉キャンパスのあった綱島駅の近くにあるレンタルビデオショップでアルバイトをしていました。
ミスター慶應と就職活動
○ミスター慶應に出場したきっかけは何ですか?
―4年生の時、サークルの後輩の女の子に「かっこつけてください」と言われて撮られた写真を、その子が勝手に応募したところ、最終選考に残ってしまいました。出場中はひたすらふざけていたので、自分にとっては黒歴史です。
○なぜアナウンサーの就職試験を受けたのですか?
―大学卒業後は芸人になるつもりでしたが、サークルのDJ仲間と「1年だけ社会経験を積もう」という話になりました。アナウンサー試験は他の業界よりスケジュールが早かったので、ノリで受けたら受かりました。
○就職活動ではアナウンサー一本だったのですか?
―いいえ、他の業界も受けていました。もともと1年で辞めて芸人になるつもりだったので、特にこだわりはありませんでした。アナウンサー以外では、広島ホームテレビ(入社先)に合格しました。
芸人への道
○ なぜアナウンサーを1年ではなく3年間続けたのですか?
― 1年で辞表を書いたのですが、一緒に芸人になる約束だった相方(サークルのDJ仲間)が、就職先(野村證券)での仕事にやりがいを見つけ、芸人になる気がなくなってしまったためです。
○その後、どうやって芸人になったのですか?
―一人でNSC(吉本の養成所)に入ろうとした時、中学の同級生(野球部でバッテリーを組んでいた)を誘ったところ、「いいな」となり、コンビを組んで一緒に入学しました。しかし、元々が友達だったためビジネスとしてうまく行かず、解散しました。
○今の相方(きょんさん)とはどうやってコンビを組んだのですか?
―最初のコンビを解散したのと同時期に、キョンも別のコンビを解散していました。それがきっかけで2012年にコンビを組むことになりました。
挑戦と学生へのメッセージ
○ 学生時代にネタ作りなどはしていましたか?
―漫才やコントのようなことはしていませんでしたが、自分のサークルや他大学のダンスサークルのイベントでMCをたくさん経験しました。そこで人を笑わせるスキルを磨いていたと思います。
○様々なことに挑戦するモチベーションはどこから来るのですか?
― 興味が湧くと、とことんこだわりたいタイプなのです。中途半端で終わらせるのが嫌で、物事を突き詰めた上でないと、その魅力や良し悪しは語れないと思っています。
○緊張や不安にはどう向き合っていますか?
―今でも緊張します。大事なのは、緊張を無理に抑え込むのではなく、「あ、今自分は緊張しているな」と客観的に自分をコントロールすることだと思っています。
○今の趣味は何ですか?
―お酒を飲むこと、服(アパレル)、そしてディズニーです。ディズニーは36歳頃に、9歳下の奥さんの影響でハマりました。
○最後に、今の慶應生にエールをお願いします。
―すべてにおいて「真面目」であってほしいです。勉強だけではなく、遊び、恋愛、バイト、サークル、すべてにです。大学の4年間はあっという間です。何事にも全力で真面目に向き合えば、たとえ失敗しても、後々面白い話になります。慶應生はそれができる人たちの集まりだと思っています。