連載|14人がオモウコト。
テーマ「夏休み」

 

(1)
葛藤の夏

 

かつてない夏休みが始まった。青い空、蒸し蒸しとした夏の空気。不必要なほどガンガンに冷房が効いたデパートから屋外に出たときのぬるい不快感。ビーチで花火をし、遠くの土地へ旅をする。祖父母の家でスイカを食べる。どれをとっても夏らしくて、夏休みらしい。学生生活15年弱、夏休みは私の青春そのものだ。青臭くて、爽やかで、甘いもの苦いものが全部混じって輝く季節。

大学生1年目の昨年。まさにそんな夏を体現した。そして、今年。どこまで考えて行動しても、わだかまりが残される。外に出ないのが一番いい。大学生だし。どうせ不要不急だ。そんな結論に至る。

SNSをみれば、友人が何事もなかったかのように遠出をしている。

いや、きっと違うのだ。マスクもしているし、消毒だってきっとしている。施せる限りの感染対策の内で、きっとみんないつもの自由な夏を探している。私だけだろうか、こんなに頭が固いのは。

バイト先の恵比寿の飲食店はスタッフが足りないからと、大学生を駆り出す。せめてバイトだけでも、そう思ってバイトに行くと、「週3日の飲みをやめて週1にしたんだから十分自粛しているよ」。そう言って、生ビール片手に笑い飛ばすサラリーマン。確かにそうなのだ。みんなそれぞれの形で、コロナの中で、コロナとともに、夏を味わおうとしている。自分のやり方で疲れを癒そうとしている。それでいいのだ。きっと。

私の夏休みだけ、キラキラしてない。私の頭の固さがそうさせる。祖父母を思えば外出する足が止まり、毎年行っていた草津温泉の宿のおばちゃんを思うと、Go Toキャンペーンも必要なのだと納得する。呑む場があるから、夜間の飲食を伴う外出が絶えないのだと思ったこともあったが、お世話になっているキッチンやホールのスタッフの生活は私が保証できるものではない。

大学2年の夏休み。猛威を振るうウイルスを経験する世界の中で、改めて考えの及ばない自分に、大人になるまで時間はあると言い聞かせる。そして、また思い直すのだ。YouTube見よーっと。なんだかんだ楽観的で、現実逃避して、こんな今をどうにかこうにか楽しめるのも、大学生の特権なのかもしれない。

☆ペンネーム kameri
☆学部学科学年 文学部人文社会学科2年
☆ひとこと ホタルイカは1日30杯食べたい