《「流行り」~その先をゆく人々~ 》「自分らしさ」をファッションで

加藤理子さん

ファッションは個性を表現するもの

ふと周りを見渡すと、同じような靴を履き、似たような鞄を持って流行りの洋服を身につけた学生で溢れている。学校以外でも同様、黒いスーツを羽織ったサラリーマンが電車を埋め尽くし大人になると派手な格好をしている人はかえって目立つ。

 

そんな日本の右へ倣えの風潮に対してファッションは個性を表現するものだと主張するのは多摩美術大学に通う加藤理子さん。彼女はこの春から大学で美術史や広告学など幅広く知識を広げるとともにファッションブランド「RICO」を立ち上げ、たくさんの個性あふれる洋服を作り出している。その洋服は評価され、この夏には雑誌「ViVi」にも掲載される有名イラストレーターChiMyさん主催のイベントにも出展した。

 

ファッションブランド「RICO」立ち上げのきっかけ

彼女の夢は一人一人が自信を持ち、個性を発揮し、認め合える社会を創り出すこと。そしてそのためのツールとして彼女が選んだのはファッションだった。その日ごとに自分を表現し、気分を上げることができるのは常に身につけている洋服であるということが理由だ。「色や形、素材やデザインで雰囲気や着心地がまるっきり変わる。洋服とは、なりたい自分になるための道具だ」と話す。

 

加藤さんは幼少期の頃から学校で制服が指定され、みんなが同じ服を着て学校に行かなければならないことに対して、いつも閉塞感を抱いていた。「そんなにファッションに対してこだわりがあるなら自分で作っちゃえばいいじゃん」。進学先を考えている際に友人から言われた何気ない一言がきっかけでブランドを立ち上げることを決意した。

 

仕事が楽しい

彼女は「RICO」を経営するにあたって、デザイン作成や製作だけに留まらず、会社の財務やイベントの参加、の運用まですべて1人で行っている。大学に通いながらここまで活動の幅を広げることは想像以上に大変なことだろう。だが彼女は「確かに時間的に手が回らずもどかしい時もあるけど自分の作った洋服によって人から感謝されたり必要とされたりすると純粋に嬉しいし、この仕事が楽しい」と、生き生きとした表情で答えた。

 

ファッションで日本を彩る

今では、世界が多様な文化を認め合う風潮に変わりつつあることは明白だ。世界で最も影響力があるといわれるファッション雑誌「VOGUE」の表紙を体型や肌の色の異なる個性豊かなモデル6名が飾ったこともそうだろう。彼女は多様なファッションが街を彩るニューヨークでその現実をまざまざと見せつけられた。

 

それから日本の細い=きれいというイメージや露出や派手な色を敬遠する傾向に違和感を覚えるようになった。ふくよかな人向けの洋服を立ち上げた渡辺直美さんや、モデルとして活躍しながら環境や動物の保護にも目を向けるローラさんのように、世代や性別、そして体型に関係なく自分を表現することができる洋服を、固定観念に縛られた人達に届けたいという新たな夢も抱き始めている。

 

しかし、これらの活動にアプローチするためには自身の影響力や知名度も必要になる。そのために人とのつながりを一つ一つ大切にして様々なことを吸収し、洋服だけにとらわれずいろんなことに挑戦していきたいという。さまざまな夢を持った学生で溢れる大学に身を置き、前進し続ける加藤さん。彼女がファッションを通してどのように日本を彩っていくのか、今後の成長に胸をふくらませる。

「RICO」の広告

 

(古嶋凛子)