24日15時から、南校舎5階南ホールにて、社会学者の古市憲寿さんによる講演が行われた。この講演会は、経・商・法学部ゼミナール委員会主催の3学部合同講演会として開催された。

今回は、当日券が完売するほどの人気だった。塾生2名との対談形式で、事前に集められた質問を中心に進行された。古市さんから、進行の塾生に対して質問することもあり、双方向でのコミュニケーションが見られた。古市氏は様々な質問に答えながら、彼の「生き方」を次のように語った。

 

学生時代

「SFCは自分に合っていた」

大学進学をするとき、自分が何をしたいかを決められなかった。だから、何でもできそうだと思ったSFCに進学した。入学した頃は建築やCGの勉強をしていたが、卒業時には社会学。入口と出口が全然違っても許容されるというSFCの多様性が魅力だった。

在学生の個性が豊かだったという点で、SFCは自分に合っていた。人間として魅力的な人や帰国生が多かった。一般的な大学では縁遠いであろう、起業や海外留学が当たり前だと思えた。周りが留学したので、自分も行ってみようと思い、大学3年生から4年生にかけて、ノルウェーに留学した。

苦手な人への接し方

相手から一歩距離を置くこと。「サンプル」だと思えばいい。子供の頃の夏休みの自由研究で、カブトムシや朝顔に対して怒る人はいないじゃないですか。

人間を人間扱いするから、相手に対して嫌いだという気持ちを持つと思う。少人数であればあるほど、相手と向き合うのが大変になる。嫌な人に1人で対応するのは大変だから、話し相手になれるタイプの人を呼ぶというのもひとつの手だ。

緊張したことは?

仕事で緊張することはあまりないですね。自分に対しての期待値が高い人ほど緊張すると思う。僕自身は、自分への期待値が高くない。だから、緊張しなくなった。

「自分への期待値」が緊張の度合いに関わるという

失敗やミスの乗り越え方

失敗やミスは、世間も自分も忘れていく。大舞台を何回も続ければ、1個の失敗は大したことではなくなる。トライアンドエラーが大切。乗り越えてはいないけど、忘れていくというスタイルで、僕は失敗やミスと付き合っている。

僕は、誰かの失敗をポジティブに捉えるようにしている。どんなことも「逆に嬉しい」と思えたら、それは失敗やミスではなくなる。そういうことを、自分に対しても、他人に対してもしているのかなと思う。

大学生へのメッセージ

「居場所」の重要性を話す古市さん

いくつかのオプションを持っておくことがすごく大事。仕事の領域がこれしかないと思うと、逃げ場所がない。いくつか自分の居場所があったら、一か所で喧嘩しても違う場所に行けばいいやと思える。

失敗したときに帰る場所があるほうが、大胆なことができるという研究もある。大学生という居場所のある環境の方が、挑戦できると思う。

 

今回の講演会を通して、古市さんの考え方を知り、「楽に生きる」ためのヒントを得られたのではないだろうか。

(塚原千智)