《日吉研究所2020 No.1》「先代から変わらない味をいつまでも」洋食 白鳥さんインタビュー

浜銀通りに入ってすぐ右手の路地を曲がると、ニワトリとはくちょうの描かれた看板に出会う。オムライスの店、白鳥の目印だ。薄紫色の扉と印象的な看板でひっそり可愛らしくたたずむこの店だが、お昼には白鳥のオムライスを目当てとした学生で賑わう。

白鳥のオムライスの特徴といえば、まずはその卵。お菓子作りが好きだった先代が考え出したというこの卵は、しっとりと厚く、ほんのり甘みがある。また注目すべきはそのソース。これは一般的なエビのカクテルのソースをヒントに作られたオリジナルソースで、甘みのある卵との相性が抜群だ。

養鶏場とは1957年の創業当時からのつながりがある。卵の状態について常にやりとりを行うことで、創業以来変わらないオムライスの食感、味が実現可能なのだという。また基本のオムライスに加えて、ハヤシをかけたオムハヤシ、チーズが入ったチーズオムライスは学生に特に人気が高いそうだ。

お客さんから人気の高いというオムハヤシ。ふわふわの卵と特製のソースは病みつきになること間違いなしだ。

足で賢明に水を掻きながらも、水面に浮かぶ白いはくちょうの姿は清楚で美しい。「白鳥」という店名は、白が好きだったという先代がそんなはくちょうのような店になるようにと名付けたものだという。開業当時はオムライスに限らない洋食屋であったが、その後次第にオムライスの注文が主となっていったことを受け、メニューをオムライスのみに絞ることとなる。ケチャップのオムライスが基本であったが、「カレーをかけて」「カツをつけて」と洋食屋時代のメニューを求める学生たちの声に応えてオムライスのメニューは増えていった。

店主に話を伺うと、次々と学生との思い出が語られる。当時の学生は麻雀を中心に4人で動いており、白鳥の店内は全て4人席だったそうだ。現在も店の中心にある4人テーブルが当時の光景を想像させる。雀荘に出前を出していた時期もあり、当時麻雀を打ちながら食べていた味とその食器に再び出会って懐かしそうにする客もいるという。

店内に入ると、黄色に塗られた扉が目に付く。

メニュー表のエンドウスペシャルという名前に目が止まる。ジャンボオムライスよりもさらに大きなオムライスだ。ある慶大生の強い頼みによって実現し、彼の名前をとったものだという。

千円前後でお腹いっぱい食べられる白鳥のオムライス。店主にそのコスパの良さの秘訣を聞くと、「学生の皆が喜ぶから、なかなか値段を上げられないんです」と笑顔で語る。

お腹を空かせた学生を満たしてあげたいという先代の思いを変わらず持ち続けている白鳥。学生時代に通っていた卒業生の要望に応え、現在は祭日や日曜日も営業しているという。先代から変わることのないふわふわのオムライスをお腹いっぱい頬張る幸せは、一度行って味わう価値があるだろう。

 

(増田 結実)