発見!ジュリアナに通っていた塾生

ジュリアナに行っていた慶大生として探偵が接触したのは、塾員で、東京福祉大学・大学院社会福祉学研究科の田中正秀教授だ。田中教授は1994年慶大卒で、学部生だった時期とジュリアナの営業時期がほぼ一致している。それ以前、別の有名なディスコでDJをやっていたため、同じ業界のジュリアナができるのを知ったという。ジュリアナにはオープンの日に行ったそうだ。

初めて行った時の感想について、「単純にすげえと思った」と話す。「日本にあそこまで巨大なディスコは今までなかった。天井が高くて、講堂のような感じ。海外のスケールのでかさを感じた」

他にも慶大生はいたか尋ねると、ジュリアナで慶大生らしき人を見たことがないという。学内でジュリアナに関するうわさもまったく聞かなかったそうだ。「近いからこそかえって行かない。近いからって行くのは二郎くらい」と田中教授は表現する。

ジュリアナには大学生一般が行きにくい高いハードルがあったのも事実だ。ジュリアナには明確なヒエラルキーがあり、「お金を持っている人=偉い」というような了解があった。VIPたちは店の入り口横に車をつけて、列に並ばずとも入店が許されていたのである。そして、多くの人が互いに上位の階層に行こうと競い合っていた。慶大生の多くには敷居が高かったと言えよう。

感覚的にはほぼ毎日ジュリアナに行っていたという田中教授。なぜそんなに通っていたのか。

「ジュリアナには、有名な企業経営者やスポーツ選手、芸能人など普段出会えない面白い人が集まり、一般の人でも超一流の感性を持つむちゃくちゃ面白い人に出会えた」

このようなジュリアナでの出会いは、多くの刺激を与えてくれたという。

「普通に生きていると自分の想定できる人しか知り合えない。ジュリアナには想定を上回る人たちがいる。彼らは肩書きじゃなくて本当に面白いかどうか。慶應というブランドではなくて、自分というブランドをどう磨くかということをジュリアナでは学んだ。(ジュリアナに)行けば行くほど大学には行きたくなくなったね(笑)」

ジュリアナで学んだチャレンジ精神を基に、その後、大学院とダブルスクールをしながらクラブの経営を行ったと話す。そこでもいろいろな人に出会うことができ、ミュージシャンのプリンスが店を訪れたこともあったそうだ。その時のことについて、「自分のブランドが世界にも通じているようでうれしかった」と言葉をもらす。

調査の終点で「慶應ブランド」を見つめ直すという、思いもかけない機会となった。

調査報告

ジュリアナに行っていた慶大生はマイノリティである。今回の件から探偵が得るべき教訓は、物事の結びつきはそう単純なものではないということだ。近いからといって慶大生が多数いたとは限らないということがわかる。

 

(格好良いふられ方)