【慶應俳壇】 第2回~白蟻を蟻が引き摺るリノリウム ~

本井英 選

青梅を放て青梅固きうち
法1 野口ま綾

季題は「青梅」。「実梅」とも言う。青く太ったところを叩き落として「梅酒」に漬け、やや熟れたものを「梅干」にする。この梅が黄熟するころの長雨が「梅 雨」である。一句は枝にたわわに実っている「青梅」を見たときの作者の感覚。ゆるゆると熟してしまう前に「行動を」、と叫んでいるようにも読める。季題を 窓口にして作者の気分が溢れ出た。

白蟻を蟻が引き摺るリノリウム
理3  稲垣秀俊

季題は「蟻」。一匹で行動しているときも無くはないが、多くの場合は何匹かまとまって行動するように見える。「蟻の道」と言えば何処から何処までとも無く 続いているもの。掲出句は「白蟻」を獲物として運んでいる「蟻」の姿。場所は「リノリウム」の上。と言うだけで、なんとなく安普請の床が見え、その裏で暗 躍する「白蟻」の姿も想像される。

髪高く結いたくなりし初夏の朝
文1 沼あゆみ

季題は「初夏」。「五月(「さつき」では無い)」頃の感じだ。ややクラシックに言えば「卯月」がそれに該当する。長雨時期の前に乾燥した気持ちの良い季 節がある、それだ。  女性の、しかもまだ若い女性の髪型には不案内だが、昔流行った「ムーミン」の「ミー」みたいな髪型を想像した。アップにした項を乾いた風が吹いてゆく。

蚕豆の剥かれきつたる重さかな
商学部 講師 高橋幸吉

季題は「蚕豆」。枝に生るときに「空」を向くから「ソラマメ」。日本の初夏の絶品。「夏場所」と大川の川風が連想される。莢はやや大きく、ふかふかした繭 が内側覆う。その「莢」から取り出した折の感覚が掲出句である。莢を被っていた時と、剥かれた後の「重さの感覚」の違い。些細なことだが、人生の襞が細か くなっていく。

あまりにも青き街路樹目を背く
総4 小西希実

ちょうど、季節としては春から夏へ移る頃であろう。そんな時期に、「あまりにも」と感じさせる位のふと目に入った街路樹の澄みきった青に圧倒されている。これから、本格的に夏の季節に入る中で、この「青」はさらに色味を増し、私たちを魅了させてくれるだろう。

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