自分らしく特技を極める 男子フラダンス

フラダンスと聞くと、長い髪を下ろし、ハワイ風の花で着飾った女性が優雅に踊る姿が浮かぶだろう。日本でフラダンスを習う者は年々増えており、今では約40万人がそのハワイの伝統的ダンスを楽しんでいる。一方で、フラダンスを習う男性は国内でわずか1000人ほど。その1人が小倉伊織さん(経3)だ。

大学入学後、友人から「女の子ばかりだろうから、彼女できるかもしれないぞ」と、あるサークルに誘われた小倉さん。それが当時設立された慶應初のフラサークルpilialohaだった。小倉さんは、高校3年時にハワイへ短期留学した。その際にフラダンス経験はあったものの、特別に強く興味を惹かれたわけではなかった。だが、その後の先輩からの強い勧めもあり、あまり気は進まなかったが男友達数名とともに入会した。

何気なく続けて数か月が経ち、その後もフラダンスを続行すべきか迷った小倉さん。気付けば、男子会員は小倉さんのみだった。悩んだ結果、「やめるのはいつでもやめられる」と続行を決意。振りを覚えるのは難しかったが、反復して徐々に習得していくなかでフラダンスの魅力を強く感じるようになった。そこで、さらに本格的に学ぶためフラダンス教室を探した。

3年前に開校したフラダンス教室に入会。約100人いる入会者のうち、小倉さんは男子最年少だった。この頃からより美しく踊るべく、筋力を増強させようとジム通いも始めた。昨年はイベントに8度出演、今年はすでに10回ステージに立った小倉さん。本番を通して学べることは多く、舞台に1度立つことで練習10回分に値する経験ができるように感じると語った。

大学3年目も後半を迎え、就活という2文字が小倉さんの頭をよぎる回数も増えた。だが、このままフラダンスを中断することなく、大学卒業後も続けたいと話す。「ダンスを踊るという意識より、曲や衣装と合わせて踊りで歌詞を表現できるように努めたい。そして、一つ一つの舞台で確実に成果を得ていきたい」と語った姿からは、周囲に流されずに自分らしく特技を極めようとする志が伝わってきた。
(三谷美央)