東京六大学野球の2015年春季リーグ戦開幕から1か月が経過した。これまでの2カードで2勝3敗、勝ち点1と何とか優勝争いに踏みとどまっているが、これ以上の敗北は許されない慶大野球部。後半戦、そして来たる早慶戦に向けて、前半戦を振り返りながら、慶大野球部の戦力を分析する。

投手陣から見てみよう。その中心となるのは、加藤拓(政3)と三宮(商4)の2人。加藤は昨春、防御率0.88で最優秀防御率のタイトルを獲得、三宮は昨秋4勝、防御率1.88の好成績を残すなど共に昨年大きく飛躍した選手であり、今季も活躍が期待されている。前半戦、加藤は明大1回戦の最終回こそ乱れたものの防御率2.33とエースと呼ぶにふさわしい投球をしている。三宮も防御率こそ4.70であるが、WHIP(1イニングに何人の打者を出塁させたかを示す数値。先発投手は1.20を切ると合格点といわれている)は1.17で加藤の1.44を上回る。これはリーグの他の好投手と比べても遜色ない数字であり、後半戦への期待が持てる。両者に加えて2013年秋にノーヒット・ノーランを達成した加嶋(商4)、明大第3戦に先発するなど1年ぶり神宮に帰ってきた小原大(環3)の両左腕が控えており、投手陣はほぼ盤石と言えるだろう。

一方の野手陣はどうか。打線の中心は横尾(総4)と谷田(商4)である。2人は1年生の頃からチームの主力として活躍しており、昨春のリーグ制覇に大きく貢献した。横尾は明大とのカードで2本塁打を放つなど調子を上げてきている。一方の谷田であるがここまで打率0.111と不振にあえいでいる。谷田の復調は慶大の優勝には不可欠だ。対照的に、ここまで攻撃陣で気を吐くのが梅野(環4)だ。昨年までは代走での出場が多かった慶大野球部屈指の韋駄天であるが、今季は打率0.400、出塁率0.500と打撃でも存在感を発揮している。盗塁もすでに4つ決めており、これまで幾度となくチャンスを演出してきた。

このほかにも前半戦で当たっていた沓掛(商3)、昨秋の早慶戦で本塁打を放つなど実力は十分の斎藤(商3)にも注目だ。

投打ともに本来の力を発揮することができれば、ここからでも十分に優勝を狙うことのできる戦力は揃っている。明大とのカードで見せた粘り強い野球ができれば結果はおのずとついてくるはずだ。
(高野祐也)

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■WHIP
1イニングに何人の打者を出塁させたかを示す数値。先発投手は1・20を切ると合格点と言われている