個性豊かな以前の受賞作品
「学生コンテスト」も開催

株式会社博報堂アイ・スタジオが運営する「Yahoo! JAPAN年賀状」。このウェブサイトでは年賀状の作成・印刷・投函までをすべてインターネット上で行うことができる。住所を知っている相手にはもちろん、住所を知らないSNS上の友人にもお年玉付年賀状を送ることができる。また、スマートフォンのアプリから作成することも可能だ。

「現代はメールやSNSなどを通じて常に人と人とのつながりがある状態。だからこそ、サービスを利用して日本の文化である年賀状の良さを再認識してほしい」と同社の秋谷寿彦さんは語る。

今年度は受け取った年賀状を特定の自販機にかざすとコカ・コーラが一本無料でもらえるなどといった新しいサービスもつくりあげた。同社の田中慎二さんは「これはインターネットから離れた場でも接点を持ってもらうための工夫」と説明する。

サービスと並行して、2011年度からは「東日本大震災チャリティー企画 Yahoo! JAPAN年賀状 学生デザインコンテスト」を開催している。学生から応募された年賀状作品の中から、一般投票で選ばれた100作品をサイトで販売し、その売上の一部を日本赤十字社に寄附する。また、後援企業の審査員により、優秀作品には賞を授与する仕組みだ。

同社はウェブサイト制作によるプロモーションや、サービス提供を行っていた。しかし、「震災が起き、インターネット上のみでの活動に限界を感じた」と同社の十字賢さんはきっかけを振り返る。当時話題となった「絆」を年賀状のやり取りに見いだし、チャリティー企画を考えついた。

当初は有名デザイナーに協力を仰ぐ案もあったが、最終的に若い世代を主体とする学生コンテストとなった。「デザインで社会貢献ができる」ということを伝え、仮に学生がプロのデザイナーになった際にも、復興にかかわれることに気付いてほしいという想いからだ。

同社はこの取り組みを通じ、クリエイティブに活動する若い世代を支援していきたいと言う。さらに、今後は被災地に赴き、子どもたちに年賀状の意義、年賀状をもらう喜びを伝える取り組みにも挑戦しようとしている。 (浦野志都)