【喊声】2月号

例年通り大学受験の季節が到来した。受験票片手に緊張した面持ちで大学構内を訪れる受験生を見ると、自分の受験時代を思い出す。人生で二度と経験したくない出来事が大学受験だ。初年度は儚く散っただけに、2年目に大学が決まった時の安堵感は表現しがたい

▼期待を胸にいざ大学の門を叩いてみると、学業に励む学生はごく僅か。代わりに何も考えず時間を浪費している学生の姿が数多く見られる。受験生時代の勉強への熱意は一体どこへ消えたのか、戸惑いながらも周囲に流され学生達の熱は冷めていく。

▼大学とは何をすべき場所なのか疑問に思う学生は少なくない。専門的な学問に思い焦がれ入学した学生は、バイトやサークルに専念し学問を疎かにする周囲との温度差を感じる。「社会勉強も大事」とはよくいうが、従来の勉強あっての大学生活だと考えるのは古いのだろうか。

▼来年度新設される慶大薬学部への出願者数は計4888人。設立1年目にしてこの数字は目を見張るものがある。何を求めて慶大を目指すかは多種多様だが、共通すべきは学業への探求心であってほしい。

▼昨年の入試新聞配布で出会った学生の姿が心に残っている。試験で失敗したのか、茫然自失し目に涙を溜めていた。その姿に全く気が付かず、新聞を渡した自分の愚かさを呪った。慶大で学ぶ夢を打ち砕かれた彼女に、慶大の情報媒体を渡してしまうとは酷な話だ。

▼大学合格の裏にあるのは、涙を呑んだ多数の受験生。慶大を含め、どの大学に入学しても初心を忘れず勉強に励むのが彼らに対する礼儀ではないだろうか。

(高橋祐規)