東京高等裁判所は11月28日、同性婚を認めない現行の民法および戸籍法の規定を「合憲」と判断した。同性婚をめぐっては、大阪、名古屋など全国5か所にて一連の訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)が提起されている。高裁で合憲判決が下されたのは初であり、地裁を含めても3年前の大阪地裁以来である。
原告は、同性婚を認めない現行規定は憲法の3つの条文に違反すると主張してきた。「個人の尊重・幸福追求権」(13条)、「法の下の平等」(14条)、婚姻に関する自由と平等(24条)である。合憲判決には、すべての論点で憲法に違反しないと認められる必要がある。そして、違憲であることを前提に、それを立法で是正しないという国会の不作為が損害を加えたといえる時、国家賠償が認められる。
今回の訴訟の前段階である東京地裁での第一審判決では、現行規定は「違憲状態」と結論付けた。これは直ちに法令を無効とはしないが、状態は違憲だという警告判断を指す。地裁は、24条2項に照らし、憲法上直接保障されていない人格的利益にも十分配慮しなければならないと指摘。違憲となるのは規定が合理性を欠き、国会の裁量の範囲から外れるときのみだが、同性カップルは婚姻に近い関係性があっても、婚姻によって得られる保障を得られないゆえに人格的利益が侵害されている。社会的にも婚姻は異性間にしか認められないという意識はなくなってきているため、同性婚を認めない現行の規定は同条に違反する、という論理展開だった。
ただし、同判決は必ずしも原告に完全に有利な判決ではなかった。あくまで違憲状態であり違憲ではないこと、婚姻か独自制度のどちらを選ぶかは国会の裁量に属するとしたことなどが理由だ。一方その後に行われた5回の高裁判決では国側に不利な判決が続いた。特に福岡高裁は個人の尊重にも違反すると指摘、大阪高裁は同性カップル独自の制度を作ることは新たな差別を生むとまで踏み込んだ。
では、本判決はどう判示したのか。24条1項は、国会に婚姻に関する立法の裁量を与えながら、個人の尊厳と両性の平等という限界を定めたものである。そもそも、この条文の背景には、妻が夫に従属していた家制度からの脱却という意味が込められている。よって、当時社会的承認を受けていなかった同性婚関係については、同項の「婚姻」に含まれるとは解されず、合憲と判断された。
次に14条1項は、合理的な根拠に基づかない差別的取り扱いを禁止した規定である。そして、現行の法律婚制度は、多くが子の生殖と養育を目的とするという前提がある。その証拠として裁判所は、憲法の前文に「子孫のために(中略)この憲法を確定する」とあることや、嫡出子が人口の大半を占めることを指摘。よって男性の夫と女性の妻と子を結合する現行の婚姻制度は合理性が現在も認められ、合憲と判断された。
最後に24条2項は、原審と同じく合理的な立法裁量から外れたとき違憲となるとしたうえで、地方自治体や民間単位でのパートナーシップ制度の浸透、その他の法律や処分との整合性といった制度的問題を考えれば、直ちに合理性を欠くとはいえず、合憲であるとした。加えて、同性婚法制化に関する法案が複数回提出されている現状では、まずは国会での審議を尽くすべきだとも示した。
判決後の会見にて、弁護団の藤井氏は「同性カップルが婚姻制度から排除されていることについて憲法判断を求めているのに、国と国民社会を維持するためには現行の制度が合理的であるとしたのは不当。法律婚の子が多いと述べたのは事実誤認であり差別的」と指摘した。当事者の福田氏は、「私たちは結婚をして祝福を受けるに値しない人間だと言われたと感じている。怒りがこみ上げるし言葉もない」と吐露した。
一方で、今回の判決は「婚姻制度の本質は子の生殖・養育にある」との解釈に沿うものであり、これまで積みあがった違憲判決に一石を投じるものである。また国会の立法裁量を尊重し、あくまで現状が著しく不合理である場合にのみ司法が是正すべきとした判断を評価する声もある。東京二次は、全国5か所で行われた一連の訴訟において最後の判決である。今後、割れた高裁判決を最高裁がどう判断するのか、最終的な結論が待たれる。
(山田裕介)