10月15日(水)18時20分より、日吉キャンパス協生館藤原洋記念ホールにて、第1回黄葉祭が開催された。
これまで日吉キャンパスでは学園祭が開催されたことはなかったが、今回は非公式ながらも、その第一歩が踏み出された形となった。企画の中心は8団体によるステージパフォーマンスである。
開会宣言ののち、ステージのトップバッターを務めたのはラテンアメリカ音楽研究会。彼らが披露したのは、南米ボリビアなどで演奏される「フォルクローレ」というジャンルの音楽だ。尺八に似た「ケーナ」と呼ばれる笛や、「ボンボ」と呼ばれる打楽器によって奏でられる音色が、客席を優しく包み込んだ。
また、実行委員会による企画も行なわれた。観客参加型のクイズ企画で、参加者は入場時に配布された赤と青、2枚の色紙のいずれかを掲げることで解答を選ぶ。不正解ごとに脱落していくサバイバル形式のこの企画では、日吉キャンパスの銀杏並木の長さや、日吉駅に乗り入れている鉄道路線など、塾生でも迷ってしまうような問題が出題され、会場は終始歓声に包まれた。
続いて、ワグネル・ソサィエティー女声合唱団も出演し、披露されたのは「にじ色の魚」と「樹形図」の2曲で、女性アカペラならではの美しいハーモニーが会場を包み込んだ。澄んだ歌声が一体となって響き渡り、聴く者の心に深い感動を与えた。他にも、K-POP完コピカバーダンスサークルNAVIも出演し、圧倒的なダンス力を披露すると、客席からは“推し”の名前を呼ぶ声が飛び交い、会場の熱気は一気に高まった。さらにジャズダンスサークルSIGもパフォーマンスを披露した。披露したのは「がむしゃらSIGっ子行進曲」。知名度の高さもあって、規模は今回のステージで最大級だった。明るく軽快な曲調に合わせた元気いっぱいのダンスは、会場の熱気を一気に高めた。トリを飾ったのは、日吉キャンパス唯一の吹奏楽サークル、ウインドアンサンブル、披露したのは、この日のために用意された特別メドレー。多彩な楽器が織りなす豊かな音色と迫力ある演奏が会場を包み込み、黄葉祭のフィナーレにふさわしい華やかな締めくくりとなった。演奏が終わると、観客席からは大きな拍手が沸き起こり、会場は感動と熱気に満ちたまま幕を閉じた。
さまざまなサークルによるパフォーマンスで大いに盛り上がったステージ企画。黄葉祭の企画はこれだけにとどまらない。今回は、日吉キャンパス周辺の飲食店とのコラボキャンペーンも実現した。やながわ精肉店では秋の味覚を感じさせる「キノコバーグ」が、若竹日吉駅前店では人気の「オムそば」がそれぞれコラボメニューとして登場。いずれも学生証を提示すると10%割引となるキャンペーンが当日限定で実施された。また、その他の店舗でも学生証提示によるサービスが提供され、多くの学生の関心を集めた。ステージ企画やコラボ企画が実施され、初めての日吉キャンパスでの学園祭が幕を閉じた。
岩切氏は閉会後のインタビューにおいて、黄葉祭開催にあたっての思いについて、「クラス交流の活性化や、慶大としての一体感を高めるため、日吉キャンパスに学園祭が必要だ」と強調した。また、開催準備で苦労した点については、「実行委員会にノウハウがなかったため、出演団体への対応や渉外活動など、どのように準備を進めていけば良いかを手探りで進めることが大変だった」と振り返った。さらに、「限られた時間と人員の中で、協力してくれた学生や教職員の支えが大きかった」と感謝の言葉も述べた。最後に今後の展望として、「来年度は小規模でも良いので、大学内の公式イベントとして実施できるよう、塾生代表として大学側と交渉を進めていきたい」と意気込みを語り、「再来年度以降もこの団体が継続できるよう、現在20名程度いる後輩の育成にも力を入れていきたい」と今後への決意を示した。新たな学園祭としてスタートを切った日吉祭の今後に、注目が集まる。

(高橋央祐)




