【喊声】10月号

「パンがなければお菓子を食べればいいじゃない」。かの有名なマリー・アントワネットが貧困と食糧難に悩む民衆に言い放った言葉とされているが、もし彼女が今も生きていればこう言うに違いない。「働く場所がなければ働かなければいいじゃない」▼今月から来年度の採用情報の公開が解禁され、就職活動が事実上始まることになった。就職氷河期と言われ、学生は不安ばかりを口にする。しかし本当に働く場所はないのだろうか▼ある就職コンサルタントは「人気企業ランキングは決して優良企業ランキングでない」と指摘する。言われてみれば当然のことではあるが「人気企業だし、きっと優良企業でもあるのだろう」と誤解している学生はいまだに多いはずである。だが実際には長年人気企業ランキング上位に位置した日本航空が経営破綻するという事態も起きている▼人間なら誰しも周りの人によく見られたいという気持ちはあるだろう。そしてその気持ちが一流企業・大企業ばかりに学生の目を向けさせ、日本の企業の99・7%を占めるいわゆる中小企業の採用情報には目を向けさせない状況を生み出してしまっている▼学生がみな純粋に働きたいという気持ちを持っているのならこのような状況は生み出されないだろう。日本が豊かになりすぎて「実際にはそこまで必死になって働きたくないけど、どうせ働くなら聞こえのいい一流・大手で働きたいな」という甘い気持ちが学生に蔓延している証拠ではないだろうか。今の学生にマリー・アントワネットを笑う資格はない。(冨岡洸文)