コラム 六大学野球慶大優勝を通して

塾生であることを実感

「在学中にきっと優勝は経験できないだろうな」
3年前、初めて行った早慶戦の後に私が素直に思った感想である。それだけ当時の早稲田は強く、早稲田以外にも法政・明治と強敵だらけで慶應が付け入る隙はありそうになかった。
正直なところ、今年も期待できそうになかった。早稲田の投手陣には、全員がドラフト1位候補というとんでもない3本柱(斉藤・大石・福井)がいるし、明治の野村投手も絶対的エースという貫禄が漂っていたのだ。
しかし蓋を開けてみればどうだったであろうか、慶大初のプロ野球経験者監督として江藤省三氏が就任したということぐらいしか話題がなかった慶應がまさかの優勝。決して圧倒的な強さは無かったものの、全日本大学野球選手権でも堂々のベスト4に入るなど、陸の王者復活を期待せてくれる活躍であった。
この春の早慶戦は、優勝が懸った一戦ということで当日券が久しぶりに売り切れるなど、3日間で9万人以上の観客を集めるなど、近年では珍しい盛り上がりを見せてくれた。以前は1試合で5万5千人を集めダフ屋も出現したというが、学生スポーツが全体的に衰退している現在においては驚異的な数字である。
早慶戦が盛り上がれば学生スポーツは盛り上がるというのは論理の飛躍ではあろうが、少なくてもこの盛り上がりは慶大生の愛校心に火をつけてくれたのではないかと思う。
優勝後に行われた祝賀パレードや祝賀会などで行われた塾生・塾員全員での「若き血」の合唱は私の学生生活を通じて最も塾生であることを感じることのできた瞬間であった。
サッカーW杯を見て盛り上がるのも構わない。お酒を飲んで楽しむのもいいだろう。しかし、それらは日本中どこの大学生でもできることだ。
早稲田と慶應という日本のたった2つの大学の学生しか享受することのできない感動と興奮を、我々塾生はみずみす見逃してよいのだろうか。 早慶戦当日、神宮球場にはまだまだ空席は見受けられ、祝賀界の会場にも余裕はあった。
大学側は早慶戦が月曜にまでもつれたら休講措置をとるなど、早慶戦参加に大きな援助をしてくれている。後は我々塾生が球場に足を運んで盛り上げるだけではないだろうか。
塾生の歓声は秋の早慶戦でこの春のようにハラハラドキドキな野球ではなく、陸の王者らしい横綱野球を見せる原動力となってくれるだろう。あの感動をもう一度味わい、より多くの仲間と共有したいと願う。
(冨岡洸文)