◯東京建物さんは主に中国や東南アジアで事業を展開していますが、新型コロナウイルスのお話に関連して、そうした海外事業はどういった影響を受けているのでしょうか。

中国での事業は非常に古くから手がけており、日系不動産企業の中でも業績はNo.1だと思います。

中国の大手不動産会社でマンション開発において豊富な経験と実績をもつ、万科企業とパートナー提携をして、主に住宅事業を展開しており、その業績は今でも好調ですね。

また、中国では隔離政策含め新型コロナの対策は成功しており、今コロナの感染はほぼ収まっている状況のようです。中国に駐在している社員から話を聞くと、特に制限なく飲み会が開かれたりして、日常の生活を取り戻しつつあるとか。中国での事業が新型コロナによって大きな打撃を受けているということはないようです。

もう一つ、東京建物が事業展開に注力している東南アジアでは、国によってはパートナーとなっている海外企業がダメージを受けてしまい、事業が立ち行かなくなるというケースも出てきてしまっています。やはり、海外はコロナの感染状況であったりコロナ政策であったり、日本とは異なる動きもあるので、事業展開は一筋縄ではいかない。

ただ、我々としては、海外事業はこれからも拡大させていく予定です。日本の生産人口が減っていき、国内市場の規模が縮小する中、世界で稼ぐという発想は今後も重要だと感じていますね。東京建物の中期・長期ビジョンとして、海外の売り上げを着実に伸ばしていきたいと考えています。

◯海外で中・長期的に売り上げを伸ばしていきたいとのことでしたが、それは今進出している中国・東南アジアの売り上げを増やすということなのか。それとも欧米に新たに進出するということなのでしょうか。

今の時点では中国・東南アジアをメインにしていきたいと考えています。

というのも、やはりそこにチャンスが多く眠っているだろうと思っているからです。

特に東南アジア地域ですと発展途上の国が多いので先行者の利益の獲得が見込める。

一方で欧米はある程度市場が成熟しているので、その市場に新たに入り込んでどれくらい稼げるのか。現状では

すでに成熟した市場に乗り出すより、これから伸びていく市場に投資する選択をしているということですね。

海外で事業を展開する際、やはり単独で行うのはなかなか難しい。有力なパートナーと出会うことができれば、新たな場所で事業展開する可能性もあるかもしれません。

それこそ、中国事業に関しては当時の社長と万科企業のトップが意気投合したことをきっかけに、現在に至るまで多くの事業を共同で進めています。

東京建物は「信頼を未来へ」を企業理念としている会社ですが、このストーリーは東京建物の社風を非常によく表しているなと思います。

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