4月1日に発表された新元号「令和」。会見場には多くの報道陣が詰めかけ、発表者の菅義偉官房長官には多くのカメラが向けられた。また多くの人々が、画面越しに新元号発表の瞬間を見守った。

そして今月1日から「令和」が施行された。発表からわずか1か月で企業は情報システムを新元号に対応させねばならず、対応に追われている。

改元にあたってどのような対応が求められているのか。ソフトウエアテストや、検証サービスを提供するバルテス株式会社代表取締役社長の田中真史氏に話を聞いた。

 

まず改元にあたり、システムにはどのような影響があるのだろうか。平成31年4月30日から、令和元年5月1日へうまく切り替わるためには、システムの修正が必要とされている。

このシステム調整がうまくいかないと様々な問題が生じる。「平成31年5月1日」といった存在しえない表記が出てくる、令和が表示されない、利用者が令和を選択・入力できないなどといったトラブルが起こり、混乱を生むことが予想される。

こうした問題に対応すべく、バルテス株式会社では改修内容を精査する「改元検証サービス」を提供している。これは過去の様々なテスト実験に基づいており、2018年11月から提供を開始している。改元に関するチェックリストを活用することや、利用者視点のテストを通して精査することにより、多くの企業・利用者の利便性を支えているのだ。

 

しかし、「1か月という短期間で、すべてのトラブルを想定するのは困難であり、実際には5月1日を迎えないとわからない部分もある」と田中氏は語る。

経済産業省が、企業に対しシステム改修の手続きや注意点を呼びかけているものの、万全の対応を済ませた企業はそう多くはない。

また、令和への改元対応が過ぎ去っても、ビット数の関係によりコンピューターが誤作動し、その年以降が表示されない2038年問題や、 2025年を昭和0年と認識する昭和100年問題といったシステム上の問題が存在する。

 

コンピューターシステムには複雑な問題がつきものだ。我々が新元号発表に沸き、新時代へ希望を寄せる中、改元によるトラブル防止に努める人々の存在がある。そのことを胸に、令和を迎えたい。

(南部 亜紀)