法学部政治学科主催のシンポジウム「文系学部の創る価値―アメリカにおける政治学教育・研究の取り組み」が先月5日、三田キャンパス南校舎ホールにて開催された。

政治学を専門にアメリカの大学で教鞭をとる4人の日本人パネリストが登壇し、法学部政治学科の粕谷祐子教授の司会により率直な意見交換がされた。

本シンポジウムのテーマのひとつである文系学部の危機は一般的に10年以上前から指摘されており、去年6月に文部科学省が発表した、いわゆる文系学部不要論も議論を呼ぶきっかけとなった。

日本の大学の問題点は、文系と理系が明確に分かれている点だと4人のパネリストは主張する。世界には教育やテロリズム、貧困など様々な社会問題が存在するが、それらを解決するには文系理系の区別なく、総合的にアプローチする必要がある。

そのため、アメリカの大学では近年、幅広い分野を自由に学習できるリベラルアーツ(教養教育)が注目されている。ほかにも改善策として、社会問題を分析する際にデータサイエンスやフィールドワークを取り入れ、実際の職業に結びつける方法などが提案された。

今後は少人数授業を増やし、大学院生のTAを付けることできめ細かい教育を受けられるようにするシステムや、コミュニケーション能力と文章力を鍛える授業も日本の大学に取り入れるべきだという。