組織論について語る出口氏
組織論について語る出口氏

慶大大学院システムデザイン・マネジメント研究科公開講座「リーダーシップについて」が先月12日、日吉キャンパス独立館で開催された。講師はライフネット生命保険株式会社代表取締役会長兼CEOの出口治明氏。保険業界での長年の経験と読書で得た豊富な知識を交えつつ、組織のあるべき姿、リーダーに必要な資質について語った。

出口氏はリーダーの役割について「仕事はチームで行うもの。メンバーの能力とやる気を最大化できるよう人材を管理するのがリーダーの仕事だ」と指摘。一方で、「『管理』という役割はあくまで組織というシステムの中の一機能にすぎない。リーダーだからといって手放しに偉いというわけではない」と釘を刺した。

リーダーに求められる資質については、「志があること」「共感し、共感される人であること」「弱ったメンバーを素早く見つけ、助けられること」の3点を挙げた。仕事が楽しいと思えるとき、そして自分の得意なことをやらせてもらえるときに、人は喜んで仕事をしたいと考える。「仕事を押しつけるのではなく、自発的に働きたいと思わせる環境をつくることでモチベーションが向上し、良い結果に繋がる」と持論を述べた。また、「完璧な人を目指す必要はない。周囲の人もリーダー一人だけにこれらの能力を要求せず、皆がリーダーシップをもって『相互に補完する』ことこそが重要である」と強調した。

講義の最後には質疑応答の時間が設けられた。「60歳になってから起業したことに後悔していないですか」という問いに出口氏は「僕はいつも今が一番楽しいと思っている」と笑顔で答えた。