文学部専攻徹底解説の第15回では、ドイツ文学専攻を取り上げる。今回は、文学部ドイ
ツ文学専攻2年・Uさんにアンケートを実施した。ぜひ参考にしてほしい。
――専攻の雰囲気は?
独文学生の関心第一を先生方が堂々と公言し、ドイツ語学習を中心としながらも学生
各々が関心領域を自分本位に深めることを奨励している。コミュニケーションに積極的な
人も静かに個人で学ぶ人も歓迎され、ある種の憩いの場と表現したい。後述するが、人数
規模もその要因として、先生方との距離が近く、どのような関心を持っていても手厚く支
援をしていただける。
――人数や規模感は?
一学年20人前後で、男女比は2025年度2年生で2:5ほど。現3・4年生の人数を正
確に把握しているわけではないため確実なことは言えないが、男女比は年度によると考え
ていただきたい。
――どのような分野を学ぶのか?
独文学生は自身の専攻を尋ねられたとき、ドイツ語で Germanistik(ドイツ学)と答
え、Deutsche Literatur(ドイツ文学)とは敢えて言わない。この表現の違いに込められて
いるのは、ドイツ語圏(オーストリア・スイスを含む)に関わることであれば文学・言語は
もちろん、美術・音楽・演劇・ダンス・映画・歴史・文化・メディア・社会などあらゆる
ことをテリトリーとしているということである。
――必修やカリキュラムは?
必修科目は「テクスト研究中級Ⅰ・Ⅱ」「ドイツ文学史Ⅰ・Ⅱ」「ドイツ語学研究Ⅰ・
Ⅱ」「ドイツ語学演習Ⅰ・Ⅱ」「現代ドイツ研究Ⅰ・Ⅱ」である。
選択必修として「テクスト研究上級Ⅰ~Ⅳ」より2科目、「ドイツ語作文初級Ⅰ・Ⅱ」
「ドイツ語作文中級Ⅰ・Ⅱ」より2科目、「コミュニケーションドイツ語中級Ⅰ~Ⅳ」
「コミュニケーションドイツ語上級Ⅰ~Ⅳ」より4科目、「ドイツ語学文学ゼミナールⅠ
~XVI」より6科目、その他16科目より8科目を履修することが求められる。加えて大学
設置の専門教育科目を30単位修得することも求められる。
3年生への進級条件科目として「テクスト研究中級Ⅰ・Ⅱ」と文学部必修語学科目であ
る「ドイツ語Ⅲ・Ⅳ」を除いては、卒業までに単位を取得すればよく、二年生の内にほぼ
全てを履修する人もいれば、4年生までに分散させて履修する人もいる。
特徴的なのは必修語学科目としては「ドイツ語Ⅲ・Ⅳ」のみが課され、「英語Ⅲ・Ⅳ」
が課されないという点や、卒業までに少なくとも2人以上の先生のゼミナールを履修する
必要があり、3年生と4年生のときに別の先生のゼミナールを履修することもでき、ゼミ
ナールの時限が重なることはないため理論上は全ての先生を制覇することも可能である点
である。
――この専攻の特性は?
独文学専攻では読解の講義に限らずコミュニケーションや作文などドイツ語の実践的な
使い方を学ぶ講義が多く設置されており、専攻所属のネイティブスピーカーの先生が二人
もいるなど留学に有利な環境が整えられている。
独文学専攻の特出すべき特徴は「どのような分野を学ぶのか」のところでもお答えした
ように、ドイツ語圏に関わることであればありとあらゆるものを探究することができ、ド
イツ語圏が関わってさえいればたとえ本来他専攻、他学部が本分とする領域のことであっ
ても卒論のテーマとすることができる点である。実際、某独文学専攻准教授は「ドイツに
かすってさえいれば何でもいい」と発言している。先生方も文学にとどまらず、言語学、
演劇学、メディア論、映画やポップカルチャーなど非常に幅広い分野を専門とされてお
り、ゲーテを専門としながらボクシングやサッカーといったスポーツ文化を専門とされて
いる方もいる。文学についても近現代から中世といったあらゆる時代の専門家が少なくと
も一人はいる。
また、他専攻のカリキュラムと比較していただければ分かるように、専攻としての科目
が比較的少なく、他専攻・他学部の科目を履修しやすい環境でもある。実際、法学部や商
学部、矢上キャンパスの講義・ゼミに出席する人も決して珍しくはないという点も大きな
特徴と言えるだろう。
ただし、注意しなければならないのは、履修の組み方によっては課題が多くなり大変だ
と感じることもあるという点である。
――なぜこの専攻を志望したのか?
元々私は、大学入学前は法学部法律学科を志望しており、法哲学や法思想を学びたいと
思っていたが、紆余曲折あってその基盤となる哲学や倫理学を学びたいと思い、文学部に
入学した。独文学専攻は、哲学や倫理学、西洋史学専攻と迷った結果入ってくる人が多
く、私もその一人だった。哲学・倫理学に次いで、ドイツ語選択者であれば選択肢に入る
のは大体独文学専攻であるだろうと考えていた。また、専攻説明会の際に当時の担任であ
った某独文学専攻助教の先生から「遊びに来てください」と言われていたこともあり、正
直にいって特に考えもせず最後に訪れたのが独文学専攻の説明会だった。ドイツは世界史
上非常に重要な立場にあったことなどから、法学や哲学、社会学などの発展に大きく貢献
した著名人が多く、他専攻の講義にも結局出席することができる点も含めてドイツに関わ
りさえすれば自分がかねてより探究したかったことができる環境であったこと、なにより
説明会で垣間見えた専攻の雰囲気がそれまで訪ねたどの専攻とも決定的に異なる何とも表
専攻を第一志望にしていたというのが独文学専攻に決めた経緯である。
――専攻に入ってからのイメージの変化 は?
ドイツ語を専門とする専攻であるので、一年時にサボりがちだったドイツ語の能力で苦
労することを覚悟していたが、基本文法から改めて解説していただけるので、慣れるまで
予習に時間がかかり多少苦労することもあるが、覚悟していたような苦労はなかった。
――この専攻に向いている人は?
率直に言えば、ドイツ語が嫌いでさえなければ向いており、ドイツ語圏の何かに少しで
も関心があれば十分向いていると思う。専攻の必修科目にはどうしてもドイツ語を学ぶ科
目が多いため、嫌いになってしまうと流石に辛くなってしまう可能性がある。裏を返せ
ば、嫌いにならなければ、ドイツ語圏に強い関心を持たずとも、ほとんどの研究テーマで
ドイツに絡めることが可能であるため、卒業が困難になることはまずないだろうと思う。
次回は西洋史学専攻を取り上げる。乞うご期待。
(金田悠汰)