文学部専攻徹底解説の第14回では、倫理学専攻を取り上げる。今回は、弊会所属の文学部 倫理学専攻3年・冨山茜里さんにアンケートを実施した。ぜひ参考にしてほしい。
――専攻の雰囲気は?
哲学専攻と似て個人主義的な人が多い。倫理学にかなり関心を持って取り組んでいる人とGPA が足りなくて入れるところがなかっただけという人でかなり乖離がある。授業によっては少人数で質疑応答がかなり充実していることがある。
――人数や規模感は?
1 学年約 30 人。かなり小規模、哲学専攻と必修が被っていることが多いのでどちらの専攻の人なのか区別が全然つかない。
――どのような分野を学ぶのか?
ホームページにあるように倫理学とは「人はどう生きるべきか」を問おうとする学問だ。この問いに向き合うための理論的枠組み(正義とは何か、徳とは何かなど)や、現代の社会問題を問い直す応用倫理学(人工妊娠中絶の善悪、死刑の善悪など)を主に学ぶ。ゼミは近現代のドイツ・フランス・イギリスの倫理思想系が4つ、応用倫理学系が2つ設置されている。
――必修やカリキュラムは?
2年次でドイツ語かフランス語での原典講読が進級のための必須単位(落とすと即留年)。出席もあり、かなり難解だが先生方は進級させるために色々と手を尽くしてくれる。その他にも「倫理学概論」「西洋哲学倫理学史」が必修。選択必修には「倫理学の課題」、「哲学概論」、「日本倫理思想」などがある。たまに信じられないくらい難しい授業が必修になっていて逃れられないのでそこは気合いで乗り切る。
3 年次はゼミの単位が進級条件になる。私は現在留学中で、留年予定なのだが、ゼミを2つ取れば留年せずに帰国後進級することも可能らしい。
――この専攻の特性は?
2年次に一般的な哲学概論を一通り学べるので、興味はあるけどあまり詳しくはないと言う人でもスムーズに哲学倫理学の世界に入ることができる。もちろんかなり本格的に倫理学を学んでいる人もいて、そういった人との交流を持つことができる。倫理学と聞くと難しくて取っ付きにくいイメージを持たれることが多いが、応用倫理学などは現代の社会問題に取り組む学問のため、かなり身近なテーマで考えることができる。先生方は基本的にとても優しく、出席などに関しても寛大な場合が多い。
――なぜこの専攻を志望したのか?
幼少期から人間や社会構造へ疑問を持つことが多く、入学前は社会学専攻志望だった。しかし 1 年次に受講した精神分析の授業が非常に面白く、そこから人間のもっと根源的な部分に関心を持つようになり、哲学系の専攻を検討し始めた。哲学か倫理学か悩む中で、私は真理の探究というよりは、人間が行動するときの指針や矛盾といった現実的な問題について知りたいのではないかと思い倫理学を選択した。倫理学についてほとんど知識のなかった私にとって応用倫理学という身近なテーマを扱うことができる分野があることが決め手の一つでもあった。
――専攻に入ってからのイメージの変化は?
哲学という学問の性質上当たり前なのだが、学校の授業だけでは深く考え抜くことが難しく、自主的な勉強を真面目にしない限り思想を解釈してインプットすることが難しいと感じている。また、興味が持てない哲学思想と向き合うことはかなり辛く、授業を慎重に選ぶ必要があるなと感じた。
――この専攻に向いている人は?
知的好奇心の強い人、人間や社会に対しての疑問が強い人であれば興味関心のあるテーマが見つかると思う。また、倫理学とは答えがなかなか出ない問いをじっと考え続ける学問のためそれに耐えられる人が向いているのではないだろうか。
次回はドイツ文学専攻を取り上げる。乞うご期待。