慶應塾生新聞会 三田オフィス
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競走部、再びの箱根へ 「箱根駅伝プロジェクト」始動

今年で創部1‌0‌0周年を迎えた体育会競走部は3月、「箱根駅伝プロジェクト」の始動を発表した。これは、競走部の長距離ブロック所属の選手たちが、年明けに毎年行われる東京箱根間往復大学駅伝競走に出場すべく計画されたプロジェクトである。
 
箱根駅伝には、慶大競走部は1‌9‌1‌2年の第1回大会から出場しており、1回の優勝と30回の本選出場記録を持つ。だが1‌9‌9‌4年の本選出場以降、現在まで予選出場にとどまっている。近年、箱根駅伝は優秀な留学生選手の登場やテレビによる生中継などの影響で注目度を高めている。そんななか、慶大も「古豪」として終わるのではなく、もう一度本選への出場を目指そうという声があがり、昨年12月にプロジェクトが認可され、先月の開始に至った。
 
川合伸太郎競走部監督によると、このプロジェクトには主に三つの特徴がある。第一に、「選手強化」だ。長距離ブロックの新コーチに保科光作氏を招いた。保科氏は、学生時代に日体大の代表選手として箱根駅伝に4度出場し、コーチとして日体大を優勝に導いた経歴を持つ。保科氏が選手たちをリードすることが期待される。
 
また、「ランニングデザイン・ラボ」と連携し、研究面からも強化される。ラボは昨年12月に湘南藤沢キャンパスにあるSFC研究所に設立され、走ることに関するさまざまな研究が行われる。
 
ラボの代表者である、慶大大学院政策・メディア研究科の蟹江憲史教授によると、競走部1‌0‌0周年を迎えるにあたって箱根駅伝に向けて何かアクションをとれないかという話し合いが行われ、昨年の夏頃から箱根駅伝プロジェクトが動きだしたという。そして、ランニングデザイン・ラボが作られ、競走部OBである蟹江教授を中心に、研究面からのサポートが行われることになった。
 
同ラボでは、走りを科学するといったスポーツ医学的研究から、商業化する駅伝の社会的位置づけといったビジネス的研究など、さまざまな側面から研究が行われている。集団スポーツにおけるリーダーシップのあり方や、使用するウェアや靴とけがとの関係性をデータから研究することによって、選手たちの練習や指導に活かすのである。また、最先端のI‌o‌Tを使って心拍数のデータをとり、トレーニングとの関係性を調べることも計画しているという。保科コーチも先月から慶大大学院政策・メディア研究科の特任講師として同ラボで研究を行っている。創設間もないため、まだ研究の構想段階であり成果は出ていないが、5年から10年を目途に箱根駅伝出場のための研究を行っていくという。
 
プロジェクト第二の特徴は、「選手支援」である。アトランタ五輪陸上競技の選手団スタッフを経験した伊藤由記子氏が、競走部所属の学生トレーナーたちを指導しながら、選手を身体面からサポートする。加えて、3名の医師がチームドクターを形成し、選手のメディカルチェックや栄養指導などを行うシステムが整えられた。
 
第三の特徴は、「選手勧誘」である。大学競走部と同じく、日吉陸上競技場で練習する慶應義塾高等学校競走部の長距離選手は、保科氏からアドバイスを受けられる。そのため、大学の競走部と一貫教育校が連携した競技指導を実現できる。さらに国内外の約1‌0‌0‌0名の競走部OBが、長距離走に優れた若者を慶大競走部へ勧誘する取り組みを始めた。ただ、慶大が新たにスポーツ推薦枠等を設置するのではなく、あくまで入試受験を前提としたスカウティングである。
 
保科氏は、「5年から10年の間に、箱根駅伝本選へ出場することを目標にしたい」と語った。長距離ブロック長である下川唯布輝さん(環4)は、「自分がこのプロジェクトを動かしてくださる方々と選手の間の仲介役となりたい。そして、選手の声も反映させながら良いチームをつくることを目指している」と今年の抱負を述べ、朗らかな笑顔を見せた。
 
選手たちは先月から朝練の回数も増やし、改めて走りの基本も見直しているという。箱根駅伝への新たな挑戦はもうスタートした。白地に塾旗を連想されるデザインの襷を握った塾生たちが、再び大手町―箱根間を駆け抜け往復する日は徐々に近づいている。
(三谷美央)