三田祭という賑やかなお祭りの中、第1校舎133教室には別世界が広がっていた。裏千家茶道慶茶会による茶会である。茶会では、着物に身を包んだ部員がお茶を立ててくれるのを間近で見ることができる。コロナ禍ということで今年度は残念ながらお茶は頂けないが、部員の慣れた手つきと一つ一つの美しい所作に目を奪われた。

お手前を披露する部員の関さん(文2)

普段は、港区周辺や慶應義塾女子高等学校の和室で日々茶道のお稽古に励んでいる裏千家茶道慶茶会。お稽古では、季節ごとにお手前を変えて、和菓子をいただきながら和気あいあいと茶道をたしなんでいる。

茶室に一歩足を踏み入れると、そこには和の空間が広がっており、ふと心が和らいだ。

今年度の三田祭での茶会のテーマは「平常心」。「何事にも動じない心を持ち」、「その時々に合った行動をする」という意味で、コロナ禍の状況であっても動じずに対応していきたいという思いがこもっている。茶室の中には「平常無事」と書かれた書も飾られていた。部員の村田さん(経3)によると、茶道のお手前は大まかに言うと (1)お道具を清める、(2)お茶を立てる、(3)お客様にお飲みいただく、(4)飲み終えたお茶碗を清める、である。今年度の茶会では、(3)以外を見学することができた。

「平常無事」の書
茶道で使われるお道具

コロナ禍ならではの苦労もあったと代表の岩井さん(法3) は語る。「飲食禁止というルールに合わせて、どのような形式で実施するかを数ヶ月にわたって試行錯誤しました」。一方、「たくさんのルールがある中、準備をするのはとても大変だったけれど、無事開催できたことに達成感を感じています」と三田祭係の井上さん(商3)は笑顔で話していた。

部員の方々 左から岩井さん(法3)、村田さん(経3)、井上さん(商3)

 

茶会は22日の11時から16時25分、23日の11時から15時55分の間、一席約25分で開かれた。訪れた人々は、静かな空間で束の間の「和」を感じることができたに違いない。

「ペンマーク饅頭」を持ち帰ることができた

 

(堀内未希・富田純喜)