映画プロデューサー 阿部秀司さん 映画の神はディテールに宿る

日本映画界で活躍し続けるプロデューサー、阿部秀司さん。

阿部さんがこれまで手掛けた作品は『ALWAYS三丁目の夕日』、『永遠の0』、『STAND BY ME ドラえもん』など実写映画からアニメ作品まで多岐にわたる。多くの名作を生み出してきた阿部さんに、映画プロデューサーという仕事や日本映画界について話を聞いた。

 

これまでの経歴

1974年慶大卒業後、広告代理店に就職。クリエイターとして活躍していたが広告代理店退職を決意し、1986年自ら制作会社「ロボット(ROBOT)」を設立する。「ロボット」では当初はCM制作のみを行っていたが、会社設立より7年後慶大在学中からの夢であった映画制作を始め、「ロボット」は映画界に足を踏み入れた。そして、『踊る大捜査線』『海猿』などの大ヒット映画を制作。日本アカデミー賞最優秀作品賞他を受賞した『ALWAYS三丁目の夕日』等の数々の名作を生み出す。60歳を機に、個人事務所を設立し現在も数多くの作品を手掛けている。

 

プロデュース業について

映画プロデューサーの仕事とは何か。映画には出資者が関わる「製作」と実際に作るプロダクション業務である「制作」がある。阿部さんはどちらにも関わるが、エグゼクティブプロデューサーという制作の総責任者だという。主な仕事は監督とともに映画を企画し脚本を書きキャスティングを行うことと、映画会社やテレビ局や代理店等に呼びかけ製作委員会を立ち上げること。まさに映画全体に関わる仕事である。準備や撮影、CG作業等を含め一つの映画を1年半以上かけて作るそうだ。

 

映画づくりにおけるこだわり

阿部さんが映画を作る上で最も大切にしているのは「ディテールにこだわる」ということだ。アメリカのハリウッド映画に比べ日本映画の製作費は約20分の1。予算の中でいかに細部に矛盾を作らず作品を作り上げるかということを常に念頭に置いているそうだ。

「日本の技術がアメリカより劣っているわけではない」と語る。なぜなら日本も費用をかければアメリカに劣らない作品を作れるからだ。日本の映画にはアメリカより予算をかけられない現実がある。アメリカ映画のマーケットが全世界であるのに対し、日本映画は主に国内のみだからだ。

映画ビジネスは直接製作費と広告・宣伝費を合わせた総事業費を回収する事が基本だが、興行にかかる経費などを差し引くと、成功する例は多くはない。映画で利益を生むことは想像以上に難しいことのようだ。

 

日本映画界の課題

さらに阿部さんは今の映画界について、「撮影現場において実際に制作する側の人々<フリー>の社会保障が確立しておらず、将来を見通すことができないという現状がある。映画制作に関わるすべての人が夢を持てる現場を作ることが大切だ」という。日本映画界の現実はなかなか厳しい。

 

今後について

今年70歳となる阿部さん。今後の目標について「多くの国民が愛しているのを感じられる作品を作ること。もう一度『ALWAYS三丁目の夕日』のような老若男女に愛される作品を作りたい」と話す。

次なる作品は、最強タッグと呼ばれる山崎貴監督との『アルキメデスの大戦』(2019年7月26日公開予定)・『ドラゴンクエスト ユア・ストーリー』(2019年8月2日公開予定)であり、両作でエグゼクティブプロデューサーを務める。今後も阿部さんの活躍から目が離せない。

(本田里菜)