感染症の抗体を紙製チップで検査可能に 理工学部が開発

慶大理工学部応用化学科チッテリオ・ダニエル教授らのチームは、オランダの研究チームと共同で感染症の抗体を検査できる紙製の簡易検査チップを開発した。

Tenda,K.;Van Gerven, B.; Arts, R.; Hiruta, Y.; Merkx, M.; Citterio, D. Angew. Chem. Int. Ed. 2018, doi:10.1002/anie.201808070より一部改変

このチップは生物発光の原理を利用したもので、抗体があると青色に、抗体がないと緑色に発光する。検査はチップに血液を一滴垂らして行う。チップは複数の層から構成され、内部には検査に必要な試薬全てを含む。

チップの最下層にはオランダの研究チームが開発した発光する人工タンパク質(以下、人工タ)が含まれ、人工タは青色発光のタンパク質(以下、青タ)と緑色発光のタンパク質(以下、緑タ)を持つ。

人工タは、チップの上層で血液中に溶け出した、発光を引き起こす物質と反応し、発光する。このとき血液中に抗体がないと、緑タが青タから物理的作用によってエネルギーを奪い、チップは緑色に発光する。

一方、抗体が含まれるときには、人工タに含まれる特殊なタンパク質の作用で、青タと緑タが引き剥がされ、エネルギーの移動がなくなる。これによりチップは青色に発光する。青色への変化程度は抗体の量を示す。

発光するチップは、暗所に置けば外光の影響を受けずに色を観察することができるため、個人がスマホなどで撮った画像を、アプリで解析し色の変化程度から抗体の量の客観的なデータを得ることが可能となる。チップは紙製のため、安価となる予定。

教授らのチームは、個人が場所、時間を問わず、手軽に自身の健康状態を確認できるようになることを目指す。今後は企業との協力も視野に入れ、実用化へ進んで行く。