SFCは他キャンパスと違い、昼休みが20分と短いことから、授業中に弁当やパンを食することが許されている。しかし、授業後の大教室では、生徒の食べ終わった弁当の容器や空のペットボトルが、床や机の上・中に散乱している。多いときは、1教室だけでゴミ袋3枚が膨れてしまうほどひどい時もある。
なぜ学生はゴミを放置して帰ってしまうのか。それは単純に、学生がSFCのルールを理解していないからだ。学生は、自分ひとりくらいやらなくてもいいという考えや、お金を払っているのだから自分達がやる必要はないと思っているために、ゴミを放置し、ゴミを分別せずに捨ててしまう。
SFCの清掃をしている湘南コミュニティーの担当者は「ゴミを放置されると、それを拾い集める作業に非常に多くの体力と時間を奪われてしまう」と言う。特に、空の弁当のゴミを机の中に入れられてしまうと、腰を傾けて1つ1つ机の奥まで目を通さないと見つけられないため、とても大変だ。また、燃えるゴミ専用のゴミ箱に平気で違う種類のゴミを入れる学生もおり、ゴミの分別に多くの手間がかかるという。
しかし、生協で商品を買う量が減ったため、SFCが開設された当初に比べると、だいぶゴミの量が減っている。また、最近レジ袋が有料化され、学生が余計なものを買わなくなったこともゴミ減少に繋がっているという。分別に関しても、別の湘南コミュニティーの人は「今までペットボトルと弁当の容器をレジ袋に入れ、まとめて捨てられるケースが多かったが、レジ袋が少なくなり分別されるようになった」と言う。
だが、これらは学生のモラルが改善されたためのものではなく、ゴミが大教室に散乱しているという事実は昔と全く変わっていない。
SFCの事務室はこの問題についてどう考えているのか。総務の担当者に取材したところ、大教室にゴミが散乱している状況については、様子を見た上で必要があれば対策を考えるが、小中学生ではなく大学生にゴミの片付けに関して細かく呼びかける必要はないと考えているとも述べた。

湘南コミュニティーでは、「自分で買ったものは、せめてゴミ箱まで運んでほしい。その際分別もしっかりとしていただければ、あとは私達が処理します。また、ガラスや刃物は、私達がゴミを手で分別する際に指を切ってしまうので、くれぐれもゴミ箱の中には入れずに、ゴミ箱の横に紙に包むなどして置いていってください」としている。また、総務の担当者も「自分のゴミの処理はきちんと行なうべき」と述べている。

ゴミの散乱によって損なわれるSFCの景観と品位。この問題は1人1人の学生が意識をしないと改善されない。根本的な解決のためには我々自身が「ゴミをきちんと片付ける」という、最低限のモラルを改めて認識しなければならない。

(香取了)