慶應塾生新聞会 三田オフィス
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Zeebra氏、慶大三田キャンパスで教鞭 アートとしてのヒップホップ

日本ヒップホップ界のカリスマ、ラッパーのZeebra氏が今学期慶大で教鞭をとっているのをご存知だろうか。水曜2限、三田キャンパスにて「現代芸術Ⅱ」の授業を受け持っている。
 
きっかけは、昨年度の同じ枠の授業にゲストスピーカーとして登壇したことだった。その講義が好評だったため、慶大側からZeebra氏にオファーが来たのだ。その時の感想を「学生の頃は三田まで来られなかったから、よし! と思った。まさか先生として来られるとは」と、おどけながら話す。
 
授業は全13回からなる。前半は本人によるラップの講義と、グラフィティやダンス、DJといった様々なヒップホップシーンで活躍するレジェンドたちによるレクチャー。彼らがゲストスピーカーとして登壇し、実際にデモンストレーションをするという豪華なものだった。「現代芸術ということなので、ヒップホップをアートとして説明出来たら。普通の授業ではないから、学生はテレビを見ているような感覚で楽しんでくれているんじゃないかな」。後半に入った現在は、ヒップホップの歴史についての講義となっている。前半で学んだことがどのような流れで発展し、影響を与えてきたのかを紐解いていく。
 
ヒップホップは、どうにもならないところから生まれてきた分、実はとても構築的で、考える音楽なのだとZeebra氏は語る。「持たざる者どころか、国も家族も奪われたような人たちがつくったカルチャー。ロックが何もかもあるところから、それを壊していく表現なのだとしたら、ヒップホップは何もないところに創り上げていくもの」。だからこそ、学生には全部自分で一からやることの尊さを知ってもらいたいのだと言う。
 
「自分もそうだったが、ここにいる学生は恵まれている人が多い。自分の目で見て、自分の頭で考えて、自分の足で動いて、自分の手で実現していく。自分が発展させていくという野心を持ってほしい」。上手くいかないときはきっと、ヒップホップが発想を転換させ、新しいアイデアをくれるはずだ。
 
「第三の目で見ろ」とヒップホップではよく言う。第三の目とは、頭のこと。つまり、目で見たものを鵜呑みにせず、自分の頭で考え、自分なりの思考を持つ。当たり前のことでも色々な角度から考えることがヒップホップの文化なのだ。「発想をひっくり返すことによって、つまらないことを面白く、間違ったものを良いものにする。その感覚は人生の中で色々なところでプラスになると思う。ヒップホップの感覚を理解することで人生を豊かに出来る」、それが醍醐味なのだという。
 
もともと、社会的なメッセージの強いヒップホップ。アメリカなどではすでに研究対象として成立し、アカデミックに考えられている。しかし、日本ではまだ芽が出始めたばかりだ。日本でもヒップホップを文化として学術的に捉えてもらいたいとZeebra氏は言う。「履修していない人も気軽にのぞきに来てくれたら」。その言葉に甘えて、塾生諸君にはぜひ一度、実際に教室に足を運び、自らの目でこの贅沢な授業を体感してほしい。
(山本理恵子)