慶應塾生新聞会 三田オフィス
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バックギャモン日本選手権で優勝 塾員・日野雄之さん

ボードゲームの「バックギャモン」をご存知だろうか。その競技人口は全世界で約3億人とも言われ、チェスに迫る人気を誇っている。日本では競技人口こそ少なく知名度は低いものの、プレイヤーのレベルは世界トップクラスだ。

この春大学を巣立った塾員の中に、このバックギャモンの世界で活躍する若手プレイヤーがいる。文学部倫理学専攻に在籍していた日野雄之さんだ。日野さんは昨年、国内で最も伝統があり、規模の大きいタイトルである「日本選手権」で優勝を果たした。今回、日野さんに取材をしてみると、バックギャモンに取り組む姿勢の中に、彼の強さの秘密が見えてきた。

ルールは単純で、サイコロを振って相手より先に15個の駒すべてをゴールさせれば勝ち。駒の進め方にはいくつかルールが設けられていて、互いに相手を妨害しながらゴールを目指す。誰もが楽しめるわかりやすいゲームだが、実はなかなか奥が深い。サイコロを振る際の運次第で勝敗が一転することもある一方で、上級者を相手にして戦略や駆け引きなしで勝つことはできない。あらゆる局面で最善手を見極める計算力と思考力が不可欠だ。

日野さんがバックギャモンに出会ったのは、10年前、中学1年生のときだった。文化祭の展示に惹かれてバックギャモン部に入部し、ルールを覚えた。熱心に取り組み始めたのは3年ほど前からで、試合の棋譜を分析したりオンラインで海外のプレイヤーと対戦したりして、日々研鑽を積んでいる。大学時代はバックギャモンの他にもトランプゲームの「コントラクトブリッジ」に勤しんできた。ときに海外のカジノを訪れてはポーカーに興じることもあった。

複数の活動を並行して継続し、さらに成果を出すことは容易ではない。何かを継続する上で意識していることを問うと、「『続けよう』と気張るよりも、『好きであること』が重要」だと日野さんは語る。毎日義務を課すように続けても、結局長続きはしない。「できない日もある」と割り切る気楽さを持って、好きであり続けることが大切だ。

その上で、小さな目標を立てて一つずつ達成していく。この目標は、大きすぎてはいけないし、小さすぎてもいけない。次の段階に進むために何が必要で、そのためには何をすればいいか。常に謙虚な姿勢で、客観的に自らのレベルを見定めると、進むべき方向が見えてくる。

今後はポーカーで生計を立てていく傍ら、趣味としてバックギャモンを続けていくそうだ。「日本選手権」以外のタイトルの獲得にも意気込みを見せてくれた。記者も「好き」を貫く彼の生き様のファンとして、今後も活躍に期待したい。
(石田有紀)