慶應の歴史を見守ってきた

三田キャンパス東門前の横断歩道でふと右に目をやると東京タワーが見える。東京タワーを見て「ああ、三田に来ているんだな」と実感する人も多いのではないだろうか。今月22日に開業が予定されている東京スカイツリーが注目されているが、東京タワーに今一度スポットを当ててみたい。
東京タワーは1958年に完成した。333㍍という高さは当時の建築物には比類ない高さであった。のち1964年には東京オリンピックの模様を放映するなど 日本の戦後復興を象徴するものとなっていった。 東京タワーの本来の役目は電波塔であるが、東京都環境局による風速や大気汚染の調査なども担っている。現在、この塔の収入の半分が観光によるもので、観光の名所としての人気は変わらない。期間別のイルミネーションやライトアップでさまざまな顔を見せ、道行く人々を楽しませている。
慶大三田キャンパスの横にあることから慶大生にもとりわけなじみがある。東京タワーは、これまで義塾と数々のコラボレーションを果たしてきている。 2009年には慶大アート・センターが、「アートマネジメント講座」の展示系ワークショップの一環として展覧会を開いた。三田や東京の人たちの思い出になぞらえて 各時代の東京タワーを紹介。 また、2010年の三田祭では東京タワーと三田祭がともに52周年であるの記念してコラボイベント「Tokyo Tower×52nd Mitasai」を東京タワーにて開催。チアリーダーズUnicornsやライトソサエティミュージックが公演するなどして盛況を極めた。 慶應義塾150周年には、都営バス東98系統の一台が、慶應のペンマークをあしらった「ペンマークバス」として約半年間運営された。東京タワーが経由地にされており、たくさんの人がこのバスを利用し東京タワーを訪れた。 長きに渡って三田キャンパスとともにあった東京タワーも2013年には一旦その役目を終える。放送大学を除く地上デジタルテレビ放送局7局の通信所はスカイツリーへ移される。しかし、ラジオ電波など移転する必要がないものは引き続き東京タワーが発信し続ける予定であり、災害時などで万一スカイツリーが機能しなくなったときは予備電波塔として活躍することが決まっている。一時期は取り壊しも検討された東京タワーだが、当分は保存されこのように利用されるという意向が固まった。最前線から退き、これからはスカイツリーを陰で見守ることになる。
慶大生にとって東京タワーは珍しいものではないかもしれない。しかし、それは長い歴史をともに歩んできたことの証だろう。今日も堂々とそびえ立つ東京タワーは慶大生を見守り続ける。     (片岡航一)