公認会計士三田会の調査によると、平成22年度公認会計士試験の最終学歴別統計で、慶大(大学院を含む)の合格者数は251人で、21年度に比べ7人減少したが、36年連続の1位となった。この数値には慶大を卒業後、他の大学院に進学して合格した者が含まれていないので、学部卒業で集計すると、慶大出身の合格者数は271人だった。

平成22年度の公認会計士試験全体の合格者数は2041人、合格率は8.0%と21年の2229人、10.5%に比べ合格者数、合格率ともに減少した。

 会計研究室室長の黒川行治商学部教授は慶大の36年連続1位という結果について「慶大での合格者数は減少してしまったが、合格者総数も同じように減少したので昨年と合格率はほぼ同じ。合格者の若干の変動はつきものなので統計的に見て有意な差ではない」と話している。また、合格者総数が減少してしまった理由については「全体の合格者の減少は、合格しても就職できない人が合格者の半分近くに登っており、金融庁の方針で合格者を少なくし就職浪人を増やさないようにしたいという政策ではないだろうか」と話している。

大学は会計研究室を設置して、日吉で簿記、三田で論文の授業を行い、公認会計士試験受験者の塾生を支援している。

他大学は公認会計士試験の合格者数を増やすために試験科目の一部が免除となる会計専門職大学院を設置しているが、慶大ではプロフェッションの中のリーダーを輩出する構想の会計職コースを既存の商学研究科の一部として設置している。会計職コースでは、会計士試験合格のための教育ではなく、会計専門職業人としての専門的能力に加え、思考力や判断力を養うための教育に注力しているが、これはリーダー養成こそが、慶大の使命だと考えているものと思われる。

今後の対策について黒川室長は「当分の間この方針を堅持し、十分な成果が出せるように取り組んでいきたい」と話した。