ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ 伝統のオケ、その姿に迫る

ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ。言わずと知れた、慶應を代表する管弦楽団だ。特に入学式では毎年多くの新入生が彼らの演奏に耳を傾けることで知られている。音楽で大学を支え、学外でも広く活躍する彼らの姿に迫った。

ワグネル・ソサィエティー・オーケストラ(通称ワグオケ)の練習は週三回、プロの指導のもと行われる。年三回の定期演奏会に、四年に一度の国内演奏旅行やウィーンやプラハで行う海外公演が大きなイベントだ。二百人の団員が所属し、演奏会や依頼演奏の手配等も全て学生が中心となって行う。

その知名度から入学前にも新入生から入団オーディションについての問い合わせがあり、海外公演の年にはその舞台を夢見て入団してくる団員も多い。昨年入団した、ビオラを担当する小口薫子さん(文1)は、「ワグネルの演奏は高校生の頃に一度だけ聴いたことがあって、そのレベルの高さと使っているホールの凄さにびっくりした。それ以来慶大に入れたら、ワグネルに入団するのが夢でした」と入団のきっかけを語ってくれた。

団員のほとんどは中学や高校でのトッププレーヤーだが、それでも入団時はワグオケのレベルには程遠く、一度は打ちのめされる。そこから先輩が丁寧に指導し、毎回全員で演奏するまでに育て上げるのが彼らの伝統だ。「周りのレベルが高いので演奏も上手になるし、より音楽が好きになれますね」と学生責任者を務める杉山峻さん(文3)は話す。一方で好きな音楽で生活が充実している反面、活動資金のためのアルバイトとの両立が少し辛いという。

ワグオケの特徴は、プロとは違ってスポンサーがいないため、音の強弱を楽譜に捉われず自由に表現するなどアマチュアならではのアグレッシブな演奏が可能なことだ。現在は二月二七日にサントリーホールで行われる定期演奏会に向けて練習を重ねる日々だが、「学生オーケストラのトップとして上手い演奏ではなく、プロに負けないくらい良い演奏をしたい。さらなるレベルアップと、アマチュアオケならではの新しいことに挑戦したい」と努力を怠らない。

今年も入学式での演奏が行われる予定だが、「入学式は四十年近くワグオケが演奏していて曲目もずっと同じ。入学式の一要素として定着しているので、大学側の人間として良い入学式を作りたい。オーケストラを知っている人にはワグオケの凄さを、知らない人にはオーケストラの音が与える感動を知ってもらえたら」と抱負も語ってくれた。

来年は創立百十周年。歴史を引き継いでトップを走り続ける彼らの今後の活躍から目が離せない。

(池田尚美)