【特別インタビュー】タレント ミッツ・マングローブさん

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テレビのコメンテーターやラジオ番組のパーソナリティ、音楽活動からエッセイの執筆活動まで幅広く活躍されているミッツ・マングローブさん。塾生新聞での取材は10年ぶりとなった今回、ミッツさんには慶大での学生生活、三田祭や日吉祭の思い出、そして仕事観について語ってもらった。

やりたくないこともやることで人間の幅が広がる

慶應義塾高校から慶大法学部政治学科に進んだミッツさん。大学への進学はあまり新鮮なものではなく、制服から私服に変わった程度の感覚だった。サークルには入っていなかったが、バンド活動に情熱を注ぎ、慶大生だけでなく、立教大学や明治大学の学生たちとも音楽を一緒にやっていたそうだ。また、学業においては、必修授業の英語やフランス語のほか、韓国語やイタリア語など語学の授業を好んでとっていたという。

学生時代にやっておくべきことを聞くと、やりたくないこともやってみることだと教えてくれた。「好きではないこと、つまんないこともある程度我慢してやるとか、今後の人生で会わないだろうと思うような人たちとも関わっていくことが大事です。そういうことが、のちのち絶対に役に立つと思うので、自分と関係ない景色も見ておいた方がいいと思います。やりたくないこともやるっていう過程を経ることで人間の幅が広がるはずです」

学園祭は達成感と思い出を強引に作り出すザ・青春

三田祭には遊びに行っていたものの、自ら出店を行ったりステージに出演したりするようなことはなかったというミッツさん。三田祭といえば、ミスコンの審査員として俳優の及川光博さんが来ていたのが印象に残っているそうだ。むしろ、思い出深いのは慶應義塾高校の日吉祭の方で、「毎年クラス対抗で売り上げのベストスリーに入るという目標を立てていました。カラオケ喫茶みたいなものをやり、そこでステージに上がってパフォーマンスなどもしました。売り上げを上げるために工夫を凝らしたそのときの経験から、今の仕事にもつながる商売というものを学んだような気がします」と言う。

学園祭というイベントの魅力について聞くと「学園祭というのは達成感と思い出を強引に作り出す、ザ・ ⻘春のようなもの」と答えてくれた。

『理屈よりも出たとこ勝負』は10年経っても変わらない

11月になり、慶大生の中には、本格的に就活を始めている人も多いだろう。そこで、ミッツさんに、仕事観についても語ってもらった。

「仕事は楽しさを優先してはいけないと思います。楽しさ優先で仕事してしまえば、楽しくなくなったらやめてしまいます。好きなことを仕事にできるのはレアケースです」と話すミッツさん。若者には『お金を儲ける』ことより『お金を稼ぐ』ことをまず目標にしてほしいという。稼ぐというのは自分の身体と頭と時間を提供する対価でお金を得ることで、儲けるというのはその対価以上に得ようとすることだという。

また、就活生が面接でよく聞かれる、就活する上での軸は何か、という質問。ミッツさんにも、仕事選びの軸について聞いた。「私は暗中模索で来たけれど、安定した収入、ちゃんとした納税、自分の暮らしをちゃんとするっていうのは大事だと思います。あと、自分の身体が商品だから、値打ちに見合った仕事ができているかを常に考えています」

10年前の塾生新聞でのインタビューでは、自身のことを『理屈よりも出たとこ勝負』と語っていたミッツさん。そのスタンスは今も変わらないという。「ただいろんな理屈を考えても、人生って思いどおりには行かないじゃないですか。AからBに行こうとしたのに、なぜかCにいるみたいな(笑)。でも逆ギレしていても仕方ないので、『理屈よりも出たとこ勝負』はいまだにそう信じています。ある種の闘争心みたいなもので仕事をしています」

慶大生へのメッセージ

最後にミッツさんから慶大生へメッセージをもらった。「慶應の卒業証書はめちゃくちゃ有効なので、卒業証書だけはとっとけ!ですね。学費は親が払っている場合が多いでしょうし、それは親が決めた買い物だから、そこだけはしっかりしておきましょう」

さまざまな場所で、プロとして活躍し続けているミッツさんも、かつては慶大の学び舎で学生生活を送っていた。私たち慶大生も、4年間の学生生活で沢山の経験をしながら、将来へと羽ばたいていきたい。

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【プロフィール】
ミッツ・マングローブ

ドラァグ・クィーン・歌手・タレント。総じて「女装家」。
1975年 4月10日 神奈川県横浜市生まれ。10代中盤をロンドンで過ごす。 慶應義塾大学法学部を卒業後、 英国ウエス卜ミンスター大学に入学。商業音楽全般を学ぶ。帰国後2000年ドラァグ・クイーンとして東京でデビュー。以降、各地のクラブを中心に様々な活動やイベントの主催をする傍ら、05年に星屑スキャットを結成。07年スナック「来夢来人」にて丸の内初の女装ママに。09年頃からテレビでも活躍。2011年「若いってすばらしい」で歌手デビュー。2012年3人組コーラスグループ“星屑スキャット”のメンバーとして「マグネット・ジョーに気をつけろ」で日本コロムビアよりメジャーデビュー。2018年星屑スキャット1stアルバム「化粧室」をリリース。野外フェスティバルへの出演含め精力的に活動中。2019年星屑スキャット初の全国ツアー「あ々喉仏」開催。2021年4月中野サンプラザを含む星屑スキャット全国ツアー「色、色々」開催。

 

(田上広乃)

 

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