東京オリンピック開幕まで残り1年を切った。みなさんは塾内に東京オリンピックに出場できる可能性を秘めた期待の塾生がいることはご存じだろうか。そのうちの1人が体育会水泳部競泳部門所属の佐藤翔馬さん(商1)だ。

彼は先月9月8日に行われた第95回日本学生選手権水泳競技大会男子100㍍平泳ぎでは第3位、男子200㍍平泳ぎでは2分9秒21を記録し、優勝に輝いた。この記録は18歳未満の世界記録である世界ジュニア新記録であり、先月発表された東京オリンピック派遣標準記録まで残り0.93秒迫る好記録であった。

彼に記録を出した時の心境を聞くと「この記録は6月のジャパンオープンで出すことができなかった記録で、ずっと狙っていた。予選のタイムを考えると優勝はほぼ確実だったので、いかにタイムを出すかの自分との戦いだった。大会3日目ということもあり、疲労は溜まっていたが、この記録に挑む数少ないチャンスだったので力が出た。記録を出せてほっとしている」と語った。

彼のすごさは速さだけでなく成長具合だ。今年4月に行われた日本選手権からベストタイムを2秒以上縮めたのだ。たった5カ月でこの成長は彼が所属する水泳クラブのコーチでさえ驚いているという。

彼の成長には三つの秘訣があるという。

一つ目は泳ぎのフォーム。大学生になり、ウエイトトレーニングを本格的に始め、練習もより積極的になったこともあり、筋肉量が増した。彼の強みであるキックに合わせて腕の動きを変え、今のフォームになったという。

二つ目は集中力。大きな大会が続き、疲労がたまる中でもオンオフの切れ替えは欠かせない。十分にオフを楽しむからこそ大事な場面で集中力が途切れないという。

三つ目は食事。腹持ちが良く、吸収も早いということで、レース前の朝はお餅を食べているという。これが大舞台での最高のパフォーマンスの鍵になるという。

今後の目標について尋ねると二つあるそうだ。

一つ目は東京オリンピック出場。成長具合を考えると来年の4月にある代表選考会までに派遣標準記録は十分狙える。現在、彼より速い選手が3人いるが、代表の枠は2人なので、選考会までに追い抜きたいと語った。

二つ目はインカレのシード権獲得。インカレでは総合得点上位8チームがシード権を獲得することができる。シード校となるとプールサイドに応援席が設けられたり、決勝入場ゲート沿いでの応援が認められたりと優遇される。個人が出場できる種目は二つまでなので100㍍と200㍍で優勝して慶大がシード権を獲得できるよう全力を尽くしたいと語った。

1年生ながら慶大を引っ張る彼は、今後、日本競泳界をも引っ張る存在になるかもしれない。今後の彼の活躍に注目だ。

(三宅樹)