名誉博士号を授与され、記念講演するオコナー氏
名誉博士号を授与され、記念講演するオコナー氏
 12月12日、三田演説館及び北館ホールでサンドラ・ディ・オコナー氏に対する慶應義塾大学名誉博士号授与式、ならびに記念講演会が法学部・総合政策学部の主催で開催された。授与式・講演会ともに安西祐一郎塾長、阿川尚之総合政策学部長が同席した。今回の博士号授与は、阿川尚之総合政策学部長による推薦で実現し、記念講演会では、多くの学生・大学教員などが聴講した。

(御園生成一)

授与式は、阿川尚之総合政策学部長による推薦文朗読、安西祐一郎塾長による学位授与・式辞と続きオコナー氏によるユーモアを交えた挨拶をもって終了した。またそのなかでオコナー氏は自らが学長を務めるウィリアム&メアリー大学と慶應義塾との交流についても言及した。

 名誉博士号称号理由について阿川尚之総合政策学部長は、オコナー氏はアメリカ史上初の女性最高裁判所判事として画期
的な意見を発信しアメリカ社会における政治性の独立など大きな影響をもたらし多大な貢献をしたことを挙げた。

 記念講演会では、〝The Majesty of the Law:Reflection of a Supreme Justice.〟のタイトルのもと、オコナー氏は
討議を重ねて合意を得る民主主義、民主主義の礎として欠かせない法事主義、法事主義を実現するために必要な司法の独
立、これら3つの重要性などに対して独自の経験から私論を展開した。講演会の最後には、質疑応答がなされ、大学教員や学生などの質問に対して快く答えた。

 オコナー氏は1930年テキサス州エルパソ生まれ。スタンフォード大学へ進みその後同大学ロースクールを卒業。郡の弁護士として法律家のキャリアを始めた。以後、アリゾナ州で行政府、立法府、司法府の三権全てで役職を歴任。1981年にレーガン大統領によってオコナー氏は、合衆国最高判事に指名され連邦上院の助言と承認を得てアメリカ史上初めての女性最高裁判事に就任した。2006年1月に辞任するまで約24年間にわたり最高裁判事として大きな役割を果たし、アメリカでもっとも影響力ある女性と呼ばれた。

 なお、オコナー氏は慶應義塾創立150年記念未来先導基金プログラムの一つ「SFC世界の先導者招聘プログラム」の一環として12月10日と11日の2日間、SFCのゲストハウスに宿泊し憲法の授業の参加や講演を行い大学教員や学生との交流を深めた。