ライドシェアリング日本上陸~空いた助手席、後部座席を「共有」

 ライドシェアリングなるものをご存知だろうか。端的に言えば「車の相乗り」である。欧州では既に一般に浸透している概念で、日常的に行われている。とは言っても、日本ではまだ耳慣れない。このライドシェアリング。CO2削減や交通環境改善の一環としても注目されつつある。今回、我々は日本のライドシェア事情に迫った。 

(古谷孝徳)
塾員、初めて事業化

 日本で初めてライドシェアリングを事業化したのが、昨年11月に誕生した株式会社ターンタートル。99年に慶大を卒業した同社を設立した、梅元建次朗代表取締役はライドシェアリングについて、「カーシェアリングを一歩推し進めたもの」と言う。

 カーシェアリングとは自動車の共同所有のことだ。自動車の維持費の節約に繋がる。

 「でも、結局車に乗っているのは1人なんですね。助手席や後部座席は空いている。そこを共有することがライドシェアリングなんです」
 ターンタートルは今年5月、ライドシェアリング紹介サイト『のってこ!』の運営を始めた。「ある場所に車で行きたいけれど、交通費やガソリン代が嵩む。ある場所に行きたいけれど、足もないし交通費も嵩む。そうした人たちをマッチングさせるサイトです。複数で行けば旅費を割勘できるので、節約になります」(『のってこ!』の仕組は図を参照)

 『のってこ!』のユーザーは6割が20代。学生がレジャーや帰省に利用することが多い。「30代や40代でも、共通の趣味を持った人で利用される方がいます」

 運営は始まったばかりなので、登録者はまだ多いとは言えない。それでもテレビやラジオ、雑誌に紹介されることで少しずつ増えてきた。利用者の反響も良い。が、やはり最初は抵抗を感じる人も多い。見知らぬ人と、ネット上で交渉し、車という狭い空間を共有するとなれば尚更。この不安感が日本でライドシェアがまだあまり一般的ではない理由でもある。

 「国民性、というのもあるかもしれません。シャイというわけではないですけど、やはり抵抗感があるようです」

 『のってこ!』では安全性が徹底されている。クレジット決済や免許証提出制度、ネット上での公開交渉などセキュリティーにも万全の注意を払っているため、今のところトラブルは発生していない。ドライバーの希望も意思表示できるので、女性ユーザーも安心して利用できる。「ドイツで実際にライドシェアを利用したことがあります。その時、ドイツ人女性の車に載せてもらい、色々と質問したんです。『こうやって知らない男性を載せることに不安はない?』と。すると彼女は『別に普通のこと。むしろこうして知らない人とお話しするのは楽しい』と答えたんです」

 もともと欧州と日本では背景が違う。日本のように、公共交通機関が完全に整備されているわけではないし、長距離移動をする機会が日常的に多いから必然的に車を利用する機会が多くなる。企業が交通費を支給しないということも大きな理由だ。

 日本での長距離移動といえば旅行や帰省などの単発的なもの。鉄道は全国を走っている。ライドシェアの必要性はそこまで高いわけではない。しかし、だからといって日本で出来ないわけではない。梅元氏はそこに注目した。

課題は登録者数の増加

 「もともと自分で小さくても良いので何らかのビジネスを立ち上げたいという思いがありました。直接的なきっかけはドイツで実際に利用したことです」と梅元氏は述べる。

 サイト運営が始まってまだ半年。当面の課題は登録者数の増加だ。「今後は車用品を扱う企業と提携することなどを考えています。サイト内でも、ドライブ情報やレジャー情報、天気や交通情報を知ることができる地図を載せたり、保険などのアフターケアをサポートしたりと、サービスを拡充していきたいです」。1年以内を念頭に、携帯電話専用サイトの立ち上げも考えている。

 ターンタートルでは取締役の梅元氏を除けば現役の慶應生4人で運営されている。若い力溢れる若い会社。今後のサービス展開には注目である。

 折りしも季節は年末年始。スキーなどのレジャーや帰省のシーズン。ライドシェアを試してみる良い機会だ。時間的余裕はあっても金銭的余裕のない学生にとって、非常に実用的なシステム。学生間交流の活発化、はたまた国内旅行者増による地方活性化にも繋がるかもしれない。

 財布にも環境にも優しく、新しい交流の可能性を秘めたライドシェアリング。日本にまた新しい文化が根付くことを期待したい。

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