植村広紀さん(法2)
ハーバード⼤学が主催する国際会議である HPAIR(Harvard Project for Asian and International Relations) 。アジア太平洋地域の政治・経済・社会問題について、世界各国から集まった若きリーダーが議論・交流する会議で、毎年約 450 名の学部⽣・⼤学院⽣・若⼿社会⼈が選抜され参加している。本会議に参加した植村広紀さん(法2)に会議を通じて得たものや今後の展望などについて聞いた。
植村さんは幼少期に1年間ニューヨークで過ごした経験から、ダイナミズムにあふれる社会や多様なカルチャーに強い関心を持っている。将来はビジネスパーソンとしてニューヨークに戻り、スケールの大きいプロジェクトや事業に携わりたいと考えている。現在はIT分野に関心があり、ヨーロッパ最大級のIT企業の日本法人であるSAPジャパンのBid & Proposal Managementチームに所属し、英語でアジア太平洋地域の提案活動に取り組むインターンシップを経験している。またApple Storeでも働き、顧客に最適なカスタマーエクスペリエンスを提供することでサービスの本質を学ぶなど、ITを軸に幅広く活動している。
●多くの学びと仲間を得た 5 ⽇間
植村さんは LinkedIn(ビジネスに特化した世界最⼤の SNS)において⾃らの活動の発信を続けている中で、 東京⼤学のHPAIR 実⾏委員から声をかけられ、 HPAIR が 11 年ぶりの⽇本での開催と⽇本で開催される機会が少ないことから迷わず応募を決めたという。書類審査や動画⾯接といった審査を潜り抜け、参加者に選ばれた時は、喜びや嬉しさを感じるとともに、世界各国から優秀な学⽣が集う会議であることから、緊張や不安もあったという。
会議では5⽇間にわたり、テクノロジーや経済、環境など様々なテーマで基調講演やパネルディスカッションが⾏われた。植村さんは数ある講演の中で河野太郎元外務⼤⾂の話が特に印象に残ったという。河野⽒は⽇本⼈がビジネスなどの分野で、⽇本で地固めをしてから世界展開することが多いと指摘した上で、「Go Global」がキーワードであり、最初からグローバル展開を狙った事業に挑戦することが⼤切だと語ったという。河野氏の話を受けて、植村さんは日本のスタートアップが国内市場の確保に偏りがちな点に課題を感じたという。植村さん自身も将来的に海外展開を視野に入れており、河野氏の指摘に深く共感したと語る。
また、 建築家であり⼤阪 ・関⻄万博の会場デザイン・プロデューサーを務める藤本壮介⽒による講演にも関⼼を持ったという。藤本⽒は建築において空を取り⼊れるという独⾃の⼿法を⽰すとともに、東京における室内外の極端な温度差を問題視するなど、資本主義社会が抱える課題に対するアンチテーゼ的な問題提起を⾏った。
さらに、ウズベキスタンの国会議員が、⾃国の発展に向けて「成功した国をモデルにしながら政策に取り組む」という強い信念を⽰していたことが印象的だったと語る。
HPAIRでは議論や講演だけでなく、東京観光など参加者同⼠の交流の機会が設けられている。 参加者同⼠で渋⾕や東京ドームを訪れ、海外からの仲間と共に時間を過ごす中で、⼀⽣の友を作ることが出来たと語る。
●⾃⼰理解を深め、さらなる成⻑を
会議には、ポーランド最大のITメディアを運営する学生や、数学オリンピック優勝経験を持つ学生をはじめ、他に類を見ない強みを持つ学生が集まった。植村さんは、参加当初は周囲のレベルの高さに圧倒され、自身の力不足を痛感したという。しかし交流を重ねる中で、こうした学生は自分の特性をよく理解していると感じ、その経験から自己理解を深める大切さに気づいた。さらに、他者から学ぶ姿勢を持つことで、自分の課題を補いながら成長できることが、競争の激しい国際社会でも自分らしく活躍するために重要だと考えたという。
●世界を舞台に活躍する⼈材に
植村さんはグローバル規模でワクワクすることを追い求め、将来は社会⼈経験を得たのち、ITの分野で起業し、ニューヨークを中⼼にグローバルな規模で活躍できる⼈材になりたいと語る。植村さんは、将来のキャリアを⾒据える中で、若い時に留学をはじめ国際的な経験をすることで、 ⾃分の視野を広げることを重視しており、 来年はスイスの⼤学に留学を希望している。 また、⽇常においても様々なバックグラウンドを持つ⼈たちと英語で話すことをこころがけると同時に、AI・ディープラーニングの活⽤リテラシー習得のための検定試験等にも取り組んでいきたいという展望を語った。
⼀⽅で、⼤学⽣活において将来のことばかりを考えて現在を犠牲にしすぎるのは良くないとの考えを⽰しており、バランスを重視し友好関係の構築や遊びにも積極的に取り組んでいるという。
●塾⽣へのメッセージ
植村さんは、 挑戦し、 失敗したとしても、 ⾃⼰理解を深め、 他者から学ぶことで成⻑につなげることが重要だとした上で、塾⽣へのメッセージとして「スケールの⼤きい挑戦をしてほしい」と話す 。⽇本の⼤学⽣が挑戦する姿勢を持つことが、 ⽇本の国際社会での強さの向上にもつながるとの考えを⽰して締めくくった。
(大世古葵)