創立150年の節目を迎える2008年、慶應義塾は記念事業の一つとして、日吉キャンパスに「協力して生きる力」を育む場という意味を込めた協生館を設立した。隣接する陸上競技場も同施設の建設と並行して、フィールドの人口芝化、トラックのウレタン舗装など、大幅な改善工事が行われた。陸上競技場は、11月8日に行われる創立150年記念式典のメイン会場となる。

(大熊一慶)

9月25日に行われた記者会見で、安西祐一郎塾長は「独立して生きる力、協力して生きる力の両方を兼ね備えた人材を育てていきたい。現在のグローバル化された世界で活躍、貢献していくにはこの2つの力は欠かせないもので、それを育む場が協生館である」と、協生館の重要性を語った。

協生館は社会・地域との連携をより強くすることを目標として建設され、環境に優しい建物を認証する制度「CASBEE(キャスビー) 横浜認証制度」の第1号として、最高位の「S」ランクの評価を受けている。

地下2階~地上7階の総9階建て、延べ床面積3万8千平方㍍超の協生館には、3つの大学院、図書室、研修宿泊施設、会議場としても活用が可能な高機能な音楽ホールである「藤原洋記念ホール」、インキュベーションスペース、スポーツ支援施設、国内公認の50㍍プールと飛び込みプール、保育支援施設、医療施設、レストランなど多種多様な施設を擁する。

中でも「藤原洋記念ホール」は、高性能の映像装置など、最先端の設備を備えた施設である。こちらの施設は、インターネット総合研究所代表取締役の藤原洋氏による慶應義塾創立150年記念事業への支援の感謝として命名された。定員は約500名で、第一級の音楽ホールであると同時に、新しいコンセプトの会議場としての機能も備える。400インチの大スクリーンには、現行のハイビジョンテレビ映像の4倍におよぶ画素をリアルタイムに生成する4Kモニターを装備し、世界でも数少ないデジタルシネマの上映が可能だ。

その他のすでに営業している店舗・施設は「セントラルウェルネスクラブ(スポーツ施設)」、「ローソン」、「タリーズコーヒー」など。10月末には英国風パブ「HUB」が、11月にはフレンチレストラン「クイーン・アリス」がオープンする予定だ。
また、協生館に隣接する陸上競技場は、日本陸上競技連盟第4種公認で、世界初の投擲(とうてき)競技に対応した人工芝の公認競技場となる。

今後、協生館は塾生だけでなく、地域の方々にとっても、なくてはならない、親しみやすい存在へとなっていくだろう。