夏の不思議現象「アイスクリーム頭痛」


いよいよ夏も本番を迎え、今年もかなり暑い日が続いている。そんなときに食べたくなるのが、アイスクリームだ。猛暑が続くと、ついつい食べ過ぎてしまう人も多いのではないだろうか。
そんなアイスやかき氷などの冷たい物を食べたとき、頭がキーンと痛くなることがある。この痛みは、多くの人が経験しているだろう。実はこの現象は「アイスクリーム頭痛」と称されて、医学の分野でも研究の対象になっているのだ。

医学からその正体に迫る
この不思議な現象、「アイスクリーム頭痛」にまつわるさまざまな疑問を、慶大医学部神経内科で教授を務め、片頭痛の研究などを行っている鈴木則宏教授に伺った。 「アイスクリーム頭痛」は、頭痛の分類及び診断基準をまとめた「国際頭痛分類」にリストアップされている。冷たい物の摂取が頭痛を誘発することは、国際的にも認められているのだ。 症状としては、冷たい物を食べると前額部、側頭部及び眼窩(目の奥の部分)に鋭い痛みを生じ、その痛みは30~60秒でピークに達する。個人差はあるが、痛みは長くとも5分以内には収まるという。
またアイスクリーム頭痛に特徴的なのは、この痛みが他の病気によるものではないということだ。つまりまったく健康な人にも起こりうり、発症する人は全体の3~4割程度だという。片頭痛持ちに起こりやすいというデータがあるが、ほかの疾病との関連性は認められていない。片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの慢性頭痛とアイスクリーム頭痛のような寒冷刺激による頭痛などは「一次性頭痛」とよばれる。
では、この症状はどのようにして起こるのだろうか。鈴木教授は、「そのメカニズムについては未解明の部分が大きい」と話す。直ちに命にかかわるような症状ではないため、なかなか研究が進みにくい側面もあるようだ。
そのうえで、「上あごや喉の入り口部分に冷たい物を当てると頭痛が起こるという実験結果から、こういった部分に寒冷刺激が加わると、それに関連して痛みが生じているのではないか」との見解を語った。
そうすると、私たちはただ痛みを耐え、また痛みが起こる恐怖に怯えながらアイスを食べるしかないのだろうか。鈴木教授は「上あごや喉の入り口部分に当たらないように、口の中でゆっくり溶かしながら食べることで、ある程度頭痛を防ぐことができる」と言う。 暑い日にアイスを一気に口にかきこみたい気持ちを抑え、ゆっくり落ち着いて食べることが現段階でいえる予防策とのことだ。
少しでも早く涼をとるために頭痛のリスクを冒して早食いしてしまうのか、頭痛を防ぐためにゆっくり食べるのか、どちらが良いかは人によって意見が分かれるところだろう。だが、冷たい物を食べるたびに頭痛に悩まされている人は、一度こういった食べ方も試してみてはいかがだろうか。  (斉藤航)