「紙媒体は限界を迎えているのではないか」。今年7月に600号を迎える本紙は岐路に立っている。若者の新聞離れが加速するなか、紙の新聞を発行し続ける意義が問われている。

新聞の購読者数は減少傾向が続く。新聞通信調査会が毎年実施する「メディアに関する世論調査」によると、調査開始の2008年は88.6%あった月ぎめの新聞購読者の割合が、22年には58.3%まで低下している。

若年世代の読者の減少は著しい。08年比で20代は38ポイント減、30代は49.6ポイント減だ。

第15回メディアに関する世論調査から本紙作成

一方、地方紙は全国紙に比べ減少のペースが緩やかだ。08年比で全国紙は28.1ポイント減なのに対し、県紙・地方紙は3.8ポイント減。

10代、20代を主な読者とする学生新聞の状況はどうか。東大新聞は21年から週刊発行を止め、月刊タブロイド化した。東大新聞は「東大を構成するすべての人々の交流の拠点、すなわちパブリックコミュニティとなる」ことを目標としている。

本紙は、「いつだって、塾生目線」を掲げ、塾生が知りたい情報を届けてきた。いち早く慶應塾生新聞オンラインを開始し、昨年からはWEB先行、WEB独自記事などを増やしてきた。依然、紙面前提の記事作りが続く。

コミュニティを限定して情報を届けるという点で地方紙と学生新聞は共通している。また、紙とデジタルの共存の模索段階にある地方紙のデジタル強化も参考になる。地方紙や他大の学生新聞取り組みから塾生新聞の未来を探ります。600号の7月まで連載。第2回は秋田魁新報デジタル編集部次長の斉藤賢太郎記者への取材記事を掲載予定。

(粕谷健翔)